英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2013年9月22日日曜日

日本

 こんにちは☆大変お久しぶりのYskです。長い休みをいただいて日本に帰国していました。現在はOxfordに戻って普段の生活に戻っています。9月の下旬。もう寒いですね、こちらは。日本ではまだ最高気温が30℃近くあるというのに、こちらの最高気温は15℃とか。最低気温なんか5℃くらいですから相当な差があります。シャツ一枚で成田を旅だったと思ったら冬用のジャケットをしっかり羽織ってヒースローを後にしました。

ある人が「人間の細胞は半年で全て入れ替わるらしいんですよ」、と言っていました。今回の帰国は8ヶ月ぶりだったので、どうやら私の細胞は全て入れ替わって帰国。ということで、今日は久しぶりに感じた日本について記しておきたいと思います。

成田着。飛行機を降りた時からモンスーン気候のもわっとした夏の空気に包まれる。悪くないですよ、これ。その臭いも悪くない。ずっといると気分良い物ではないとは思うのですが、日本という風土の風物詩かもしれません。それから、すごいなと感心するのが成田空港の快適さ、というか仕事の速さ。ヒースローの入国審査でさんざんな目に会いまくっているので、そのスムーズさには驚嘆です。それはさすが日本と誇りたく点であります。

荷物を回収し、東京へ。京成線に乗ります。上野に向かうのに少しばかり時間がありすぎたので、あえてスカイライナーではなくて特急を使いました。成田からの風景は平凡ながら落ち着きます。水田と山と点在する家。帰って来たなという感覚に浸らせてくれます。
しかし、突然がっかりが訪れます^^; それは東京に近づいた頃にやってくるのです。狭い土地にこれでもかというくらい窮屈にひしめき合いながら乱立している家を見るとです。街の風景、いや、風景とも呼べない景色に好感が持てなかった。特に家が古かったり、汚かったりするからそう思うのではなく、整えられていない感じというか、そう、いわゆる「風景」になっていないからなんです。守るべき物を捨ててしまった感じというか、何というか。自然も文化も感じない、ただの住み処がうごめき合っているだけの様子。そんな気持ちを抱きながら上野に到着しました。

母校に向かいます。タクシーは断然英国よりも快適。割高ですが気持ちよいです。関係無いですが、大学がある通りの名前を忘れてしまったのには自分でも驚愕でした。笑^^; 大学に着きます。東京の割には緑の多いことに安心感を覚えます。中に入れば、いつものあのかび臭いにおい。懐かしさに包まれます。研究室にお邪魔すればいつもの汚い実験室。こんなに汚かったっけ?と苦笑いしながらも悪い気はぜんぜんしません^^ 少しばかり挨拶をして昼食に出かけます。ソバ屋でそばと生姜焼きを食います。これが美味い☆そして安い♪食事のコストパフォーマンスの良さはイギリスの数倍ですね!満腹満足で研究室に戻ります。もちろんクソ眠いですが。笑 研究室の皆さんと世間話をした後は当然(?)ながら飲みに!こういうの、いいですね。アジア的というか、日本的というか、それは知りませんが、こういうのをしてもらえるのは本当に幸せだし、私の好きな日本的な文化dす^^ イギリスでも「パブ行くか?」って話になると思いますが、居酒屋に行く前に、大学でビール買ってきて「おかえり」と言ってもらえる雰囲気は心にじんわり来ますよね〜。何とその日はサプライズ的な感じで、試薬を注文している会社の社長さんまでもビールを抱えて来て下さったり、可愛い後輩が私が来るというのを知って「じゃあ、スコッチを用意するか」とボウモアを用意してくれたりと、すごい幸せでした☆

帰ってかあちゃんととうちゃんとご対面です。新幹線で帰ったのですが、新幹線の快適さってハンパ無いですね!これ世界最高の乗り物だと思いますよ、僕は。早い、静か、乗り心地良し、安全!日本の技術もさることながら、ここまで質の高いサービスを提供できるのはお国自慢になるでしょう^^b
オカンとオヤジとは何の変哲もない話をして、食事を取って、終了。いいんです、こんなんで。外国じゃハグハグ。ベタベタ。ちゅっちゅっ。まあそれもいいけどさ、少し話せば充分、そういうのもいいじゃないですか^^ で、お茶を飲んだ後は急激な眠気に襲われて即就寝。

一日何もしない休日を取ったあとは、親友と釣りへ。だらだらと喋りながらドライブで港を目指します。高速道路から眺める風景が素晴らしいこと!前述の東京とは雲泥の差です。午前の太陽を浴びながら輝く黄金色の稲穂が風になびきます。奥にはまだ緑が青々とした山々。空は湿気で少し白みがかった青。イギリスの青空みたいに澄み切ってはいないけど、いいんです、これも。まさにビューティフルなんです。キプロスに行った時、友人のおじさんが「東京は全然だったけど、田舎はすごいね、最高だよ」と言っていたのが良く理解できました。本当に素晴らしいと思います。東京がダメな都市だとは言いませんが、日本の田舎って守るべきというか、誇るべきなんじゃないかって強く思いましたね^^


漁港に着いたらまずは飯!笑 寿司です。寿司。定番ですが美味い(T T) ネタが大きくて感動です。イギリスにいると美味しい生魚を食べる機会にめったに巡り会えないので、それはもう尋常じゃない喜びです☆ まあ日本に住んでいても普通にめっちゃうめーけど。笑 マグロももちろんうまいんだけど、鰹とか、アジ、新秋刀魚、しめさば、光り物は僕の口に最高に合います。あー、今思い出しただけでもよだれが。爆 コハダ、エンガワもやばいですよね。あと粗汁!ダシが最高。これはすごいですよ。はっきり言ってゴミで作った味噌汁みたいなもんですから。・・・ってそれは違うか。笑 でも「もったいない」文化が運だ最高傑作かもしれません。
でか。。。笑

歓喜の粗汁

満腹になったら漁港を観光。大きな魚が安く売られていて、見ていてすごい楽しい。外国には無い風景です。そこで巨大なカキが売られていたので、ダチに薦められて食す。1こ700円という代物。殻が手のひらよりも大きな化け物です。レモンとポン酢をかけて一気に口の中に押し込みます。ん〜じゅ〜し〜^^ 美味い!^^v 実は生牡蠣はそこまで好きじゃなかったのですが、今回は参りましたね☆
まぐろ祭り♪

巨大牡蠣。一口では食べきれない。。。けど押し込んだ。汗

さ、釣りです。正直釣れすぎ。笑 3分に1匹は釣れました。小さいのばかりだけど^^; 会心の当たりはカレイでした。ダチは黒鯛。ダラダラ話しながら良き時間でした。
帰りも風情のある田園風景を眺めながら車は走ります。夕食はラーメン!優しい昔ながらの醤油ラーメン。一品香というお店ですが、安定感のある旨さで大満足でした。そこで餃子も食べたのですが、大きくてこれも美味い!ラーメン好きな私の点数は85点。地元に帰ったら行きたい店に入りました。
ラーメンはもう一件美味しい所を見つけました。のんべえというお店のラーメン。この店は飲み屋なのですが、ラーメンも出していて、それが美味しいのです。つけ麺は甘めのつけ汁それだけでも美味しいのですが、その後に少しずつリンゴ酢を足していくと、味が劇的に変化して締まっていって飽きが来ません。よく考えたなと感心しました。

久しぶりに牧場にも行きました。動物と触れ合うってほとんどないのですが、たまにはいいですね。風景がいいですよ。山の上はもう秋。秋桜が咲いていてのどかでした。そこで食べたミルクアイスが本当に素晴らしく濃厚で美味しかったです。日本って海があって山があって四季がある。良い国ですよ、本当に。^^
天気がいまいちだが。。。秋桜は可愛い。

それからは飲みに飲みに飲みです。笑 特筆すべきは地元のバー。私の地元はカクテルが有名らしくバーがたくさんあります。カクテル自体は私は飲まないのですが、ウイスキーが豊富な店も多くずいぶんと楽しめましたね。こういう異国の文化を存分に取り入れて、日本人好みになるようにアレンジして紹介し、改良を重ねてオリジナルな物とする、そいういう文化って世界でも希だと思うんですよね。それが今までの日本の歴史を作って来たと思いますし、極めてポジティブな側面じゃないかと僕は思うのです。

しかし、銀座のバーはちょっとだったな。ラフロイグやマッカラン、ラガブーリンとまあ、有名なスコッチを飲ませてもらったのですが、高すぎ。笑 銀座と言ってもシングル一杯で1600円はちょっと。。。イギリスで飲んだら500円だよ。。。イギリスは税金がすごい高いにも関わらずです。日本でネットで買ってもボトル一本4000円とかですが。。。シングルだいたい30mlで1600円はちょっと。。。ねー^^; もう少し手加減してくれると嬉しいですね。そこまで高く設定されてると、ぼったくっているというか(言葉が悪くてすみません)、客をなめているというか(まぢ言葉悪いですね、、、)そう思ってしまいます。銀座でウイスキーはやめておくことにします。っていうか、銀座って金使うところだから!って言われたら、はいはいそうですよねって感じですけど。笑 でもなー、そういう金の使い方って単なる自己満足だよなって思いますね。この辺はイギリス文化の方が成熟している気がします。お金を使うことに精神的満足を覚えない文化ですから。0円で楽しむ幸福。そういうのがイギリスにはたくさんあるんです。公園の日向ぼっことか。歴史的建造物を巡る散歩とか。入館料無料の美術館博物館とか。彼らが銀座でスコッチ頼んだら「ばかげている」って言って怒るだろうな〜。そう思いながら相当飲んでしまいました。爆 私もまだまだ未熟者の自己満足野郎でしたわ!笑

日本酒も良いですよね。甘いのから辛いのまであって楽しめます。個人的にはすっきり辛い方が好きです。大雪渓っていう長野の酒が好きなのですが、今回はそれには巡り会えず。銘柄は忘れてしまいましたが、それに近い美味しい日本酒を堪能しました。日本酒の味って独特ですよね。他の世界のアルコールには無いです。それはあまり世界ではウケている様には思えませんが、私自身は好きです。特に外国にごり押しして売り込む必要は無いと思いますが、日本食というか和食に合う酒ってのは断然ポン酒でしょうね。

圧巻はやはり京都です。5年ぶりくらいに行きました。やっぱり素晴らしいと再認識しました。嵐山に行ったのですが、歩いていてついついカメラを構えてしまう所ばかりでした。天龍寺の庭は本当に好きです。広々としていて奥の山肌までが庭の一部という感じ。その調和が心を和ませます。紅葉や雪景色がきっとスーパー美しいのでしょうが、夏の緑に満ちた風景も言葉にし尽くせないほどの風情があります。庭は奥の方まで歩ける様になっているのですが、そこに行くと遠くからは見えないきめ細やかに手入れされた散歩道になっており、そこでは日本人特有の繊細さが垣間見えます。こういうのも日本的なんだって、忘れてはならないと思いました。
ざ天龍寺。大好き。

裏道も素晴らしい。

気分がすがすがしくなるのは、竹林の歩道です。歩いていて爽快です。まっすぐに伸びる竹。それしか無くて非常にシンプルなのですが、これは絶対美ですよ。
かの有名な竹林。

竹林を抜けた向かったのは二尊院。ここも素晴らしい。紅葉の名所らしいですが、夏もまたよし。青いもみじも乙なものです。明け方に誰もいない参道を歩いたら絶対に幸せだろうって妄想しました。
「小倉山 峰のもみじ葉心あらば いまひとたびの みゆきまたなむ」こんな句が詠まれたのも納得の二尊院でした。
本当に美しい二尊院
赤く染まる紅葉を想像してしまう二尊院

嵐山の散策はまだ続きます。次は祇王寺。緑がとんでもなく美しい寺です。苔の緑、木々の緑。一緒にいた友人が「緑が刺さる」と言っていましたが(たしか、そいう言っていたと思う。)、なるほど、そういう表現か、と感心したのが印象的です。表現が豊かだなと恐れ入りました。その友人は日本語が独特にキレイなのですが、そういった美しい日本語を使えるということも、日本人として生まれたからには持っていて良い能力なんじゃないかなと、今、ここイギリスで改めて感じます。英語と比べると、日本語的な表現ってとても美しいというか、風情があるというか、そういう表現ってたくさんありますよね。そういうのが使える人にすこしでも近づきたいと、英語を学んでいるのに、そういう気持ちにさせられます。
緑が刺さる祇王寺。

京都市内に戻ったら夕食です。記憶に無いくらい相当に久しぶりか、初めてハモすき鍋を食べました。美味です。これは素晴らしい。鴨川の夜風に当たりながら食事をしたのですが、優しいだし汁を煮立ててそこにハモを入れて湯がき、そのだし汁と一緒に取り分けて酢橘をかけて食べる。とても上品です。あー、日本的って感じて幸せでした^^ 日本食って見た目も素晴らしいですよね。ハモを湯がくと、丸まって一層キレイになります。こういうの考えた人の美的感覚に感嘆です。味や健康志向にとどまらず見た目やエンターテイメント性まで考えて作られる日本の食文化は、当然ながら世界に誇るべき文化なんだなと素直に思えます。

そもそも日本食って食材が多いと思います。悪い言い方をすれば「なんでも食う」なんですけど。笑 真面目に、イギリスとかドイツなどと比べて、扱う食材は倍くらいあるんじゃないでしょうか。フランスも多いと思いますが、やはり日本には適わないと思います。まあ、中国がダントツかもしれませんが。。。で、ヨーロッパ料理ってそういう少ない食材を料理の仕方で工夫して変えて、ソースにも工夫を凝らして味を変える、そういう印象を受けます。日本はもちろん、そういうこともやりますが、それ以上に食べようとする食材が非常に多いために、料理のレパートリーが桁外れに多い。それにさっき書いた美意識を伴うエンターテイメント性が加わって、煌びやかな食文化が作られているんだと思います。別に和食懐石だけを言っているんじゃなくて、ラーメンとかお好み焼きとかレベルでも芸術と表現したくなる場合ってありますよね^^b 日本食ってやっぱいいですよね!

お土産だってすごいです。親しい友人から、イギリスに持って行けと言われていただいたのが、お茶漬けのもとなのですが、それがまた素晴らしい。最中の中にその具材が入っているんですよ。そんなの知りませんでした。楽しいでしょうね、食べるの。お茶碗一杯の米とその最中だけで溜息つけますよ。笑 すごいよ、日本は。

あと、もう一つ。ボールペンです。その辺で500円くらいで売っている4色+シャープペンの出来が素晴らしいと思います。イギリスに持って行ってあげると皆さんスーパー喜んでいます。「人生で一番良いペン」って何回言われたことか。^^ 利便性とか効率、快適さやクオリティを追求する、そして限界まで追求しまくる国民性が500円のボールペンにまで出ている、そんな印象を、こちらイギリスでは持ってしまいます。特に外国人に「日本のボールペンに出ている国民性を見よ!」と声高に叫ぶのは相当に恥ずかしいですし、おバカだと思いますが、密かに誇っていい部分なんじゃないかなと思っています。

今回はけっこう長めに日本に滞在して、すっっごくダラダラしました。そのぶん日本という国を堪能した気がします。日本を出て日本を知る。外国で暮らすことはそういう経験もできるんだな(すごく簡単に。そして自然と。)と実感した滞在でした☆

次はいつだろう。今から心待ちにしています^^ Yskでした!