英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2014年2月23日日曜日

僅かな差:プライスレス

こんにちは、Yskです。日本は大雪だったみたいですね。事故も起こってしまったり、屋根とかが崩落してしまったり。。。遠くから見てますけど、心配です。。。東京近郊では雪に慣れていないからでしょうか。今後の対策を期待しています。

さて、ここ数日はと言いますと・・・ソチ五輪で仕事になりませんでした。笑 時間帯が良すぎるものですから、ついついパソコンに目が・・・ははは。仕事しろって話です。ええ、分かっています。ええ。しかし、しかしですね!日本人が頑張っている姿を見るの、好きなんですよー、Ysk。だってカッコイイじゃないですか!純粋にカッコイイ!!メダル獲得の瞬間とか、けっこう吠えてしまいます。笑 日本語で。笑 「よし!!」とか「っしゃー!!」とかwww ま、多国籍の環境なんで、お互い微妙に気を使い合って歓喜していますけどね^^; そもそも、研究棟のカフェテリアのテレビでたまにスポーツが流れていること自体がオカシイですよね。日本じゃありえない!時間帯的にソチ五輪は放映されていないですが、ウィンブルドンとか毎日毎日ですからね。イギリス人は寛容だなあ。


さておき。今日も考えちゃいます。世界が五輪で盛り上がっている中でも、世の中の多くは普通に回っているんですね。当たり前ですけど。Yskはこちらに来てからようやく仕事っていうのを意識するようになりました。それまでは学生だったわけですから。^^; 最近はオッサン化したせいか、仕事意識っていうのが高まっています。仲の良い友達とかと話しても仕事の話は多いです。みんなそういう歳なんだなあって。まあ普通の人だったら入社してだいぶ経ちますしね。管理職とまでは行かないまでも、役職がついて後輩も出来て、中には人事に関わってくる人だっています。そんな人達が周りに大勢いるので、Yskもついついそう言うこと考えてしまうんですね。

そんな中で、採用面接とかしている友達、大学のOBとして企業説明に行く友達なんかと話すと、こういう話が出ます。
「ぶっちゃけ、面接したってその人の100%なんかわかんねーよ。」って。おいおい、まじか^^; って話ですけど。。。ええ、しかし多いです、そういうの。

日本はこれから就活が本格化しますね。どの会社からも欲しがられる、スーパーマンなんて1%もいないでしょうから、多くの皆さんは大変な自己アピールをして就活に臨むわけです。はっきり言って面接の初っ端から、「これイケたわ。」って確実に思えた場合、だいたいは通るものです。しかし、その自信が100%って普通は無いですよね。そういう場合って、運良く自分の持ってるものが会社の需要にドンピシャだった時ですね、多くは。それでもって、人間性的にもすごく気に入られた場合。でも、そういうのって希の中の希ですよね。ええ、普通はドングリの背比べを激しくやるわけです。

じゃあ何が明暗を分けるんですかね?
面接を実際に行ったり企業説明会で学生の相手をする友人から話を聞くと、何とも複雑な答えが返ってきます。「ぶっちゃけ、フィーリング。笑」
ちょwフィーリングって。笑 これ、ナイですよね。こっちは、しこたま時間かけて必死になってやってるのに、フィーリングでYes, Noって^^; 腹立つー!? うん、わかりますよ、お気持ちは。でも、これ、すごく正直な意見だと思いますよ、Yskは。

以前に。「就活をする君たちへ」で需要と供給の一致が大前提だって書きました。それは間違ってないと思います。参考まで。
http://vl--lv-orgchem-jpn-ox.blogspot.co.uk/2013/12/blog-post.html
しかしですね、実際に企業の内定をもらう人ともらえない人の差って、目に見えて明らかなのでしょうか?内定者の1割はそうかもしれません。でも残り9割は大差無いでしょう。っていうか、周りを見てみましょうよ。自分より明らかに出来る人、または出来ない人、そんな感じにはっきり分かる人ばかりですか?いいえ、違うでしょう。私と誰かさん、どちらが優秀かなんてそう簡単に分かんないです。誰かさんと誰かさんどちらが優れているか、正確に言えます?良く知っている人ならまだしも(そういう目で見ちゃダメですけど。笑)、セミナー等で一緒になったどっかの誰かさんとどっかの誰かさん、どっちが優秀なんだろう。。。分かるわけ無いですよね!^^ ええ、面接官だって分からないと思います。笑 だから、フィーリングなんです。困ったもんですよね^^;


じゃあ、何が効いてくるか。まずはマイナスポイントを減らすことですよね。身だしなみ、言葉遣い、態度、目線、姿勢、「マイナス」が付いた時点で出遅れると思った方が良いでしょうね。じゃあ、ここでマイナスもらわなかったら合格なのかって?そんなことはありませんよね。「プラス」が必要なんです。
さっきのマイナスポイントを少しずつプラスに変えて見ましょう。これって効果的だと思います。
身だしなみ。
誰かさんと初対面で話すとします。その人のファッションがあまりに酷かったらどう思います?気を惹かれますかね。Noですよね。ですから、ファッションだって気合い入れましょう。過ぎたるは及ばざるがごとしですが。そこで「センス」が出るんですよ。見た目と第一印象で決まるってあながち間違いじゃないんですね。
メガネ変えて見るのもいいでしょう。ネクタイをばしっと決めていくのもいいでしょう。髪の毛いじるのもいいでしょう。自分がプラスと思うことをやるんです。そうやって攻める分、外すとイタイですけどね。お金使ってるだけとか。でも、そこってセンス出ますね^^
言葉遣い。
これは意外と差が出ます。敬語が出来る出来ないはレベルの低い話。Yskが誰かと話していても思うことなのですが、興味を惹く人って言葉に特徴があるんですよね。正しい日本語を使っていることはもちろんなのですが、使う言葉に個性があります。決して難しい単語を並べているウザい感じじゃないんです。使う言葉がむしろ適確でそこにセンスを感じるんです。言葉に魂こもってる感じのする人は、言葉に力を感じますしね。自然と興味が沸きます。今からじゃ遅いって話もありますがw でも意識してみると変わって来ますね、こういうのは。
態度。
私はデカいです。笑 決して小さくはないです。真っ先に打たれる出る杭ですね。汗 はい、ごめんなさい。。。じゃあ目立たないで小さくしてれば良いんですかね?Noでしょw 出ても良いんです。不愉快でなければ。これが難しい。Yskも失敗したなって反省すること多々です。^^;笑 でも、少しは出た方が良いと思いますね。その出方によるんですが、好印象を持つときって、主張が明確で爽やかな場合が多いと思います。この辺のことは人によっても受け取り方が違って来るので難しいですが、研究してみる価値はあると思いますね^^
目線。
目は口ほどに物を言います。口でどんなに嘘をついても目を見たらわかります。ええ、わかるんですよ、本当に。だから目を見られない人はちょっと大変ですね。なんか「じっと目を見るのは失礼」とか聞きますけど、そうでもないですよ。爽やかであればいいんです。目をそらす、目を見る、そのバランスです。自分の話の決め所は目を合わせないと、ね^^
姿勢。
だらしないのは言及するに値しません。ガニ股を開いたバカ者も同様。でも、直立不動よりはリラックスした方が良いでしょうね。印象の問題です。鏡の前で座って自分の顔とか背筋とか見たら良いんです。どんなのが見てて気持ちいいか、小さい所ですけど、そういうのって地味に響きますよね。初デートしてる時を考えればいいんです。猫背でぼそぼそ喋ってうつむいている人、良いですか?w がに股で「俺って偉い。まじ出来る。まじかっけー。まぢ大物。」って言う人、好きですか?w 答えるまでもないですね^^ 

とにかく小さなプラスをたくさん作りましょう。それが成功への近道だと思います^^


さて、ここまで書いてきましたが、こんな話。どこにだって書いてありますよね。汗
書いといてなんですが。笑 繰り返しますが、内定を勝ち取る人と逃す人の差って僅かなんです。そして面接する人のフィーリングによるんです。で、減点を防いで加点をもらえば内定が近づくんです。ということは、大切なのは加点です。

じゃあ。
どの部分で加点が一番付くと思います?
TOEICですかね?授業の成績ですかね?大学名ですかね?体育会の部活ですかね?サークルの代表ですかね?はたまた見た目ですかね?(まじ?w)

Ysk的にはどれも一番じゃないです。それはあくまで足切りみたいなもんで、ある条件をクリアしてもらうのに使うだけです。以前の記事にも書きましたけど、東大出身だけで会社が成り立つ訳ないですから、学歴だけで決まるなんてことはありません。それ以外の役割において、別の個性を持った人同士が競い合うわけです。そこでの条件はTOEICかもしれない。部活かもしれない。まあ色々です。

それで条件をクリアした人同士で競い合うわけですが、ここからが本番。フィーリングってやつでプラスをたくさんもらわなければなりません。

で、Yskの友人が言うんです。
「最後はこいつと働きたいかどうかだね。」って。
はい、そうですか。笑 そんなもんですか。笑 でも、それが本音なんですね。
あれ、ちょっと待ってください?これって、私達も思いますよね? 「この人が上司かあ。」って。ええ、お互い様なんです。
実は、面接する人はそういうのは当たり前に思っていると思います。ですから、面接する人も「自分と働きたい」って思ってもらえる様に少なからずしているはずです。もちろん、学生側からマイナスをもらわない様にもしているはずです。圧迫面接とかはちょっと違いますけどね。ま、それは例外としてください。

ですから、それは突飛な質問も来ますよ。だって、「こいつ面白い奴かな?」って目で見てるんですから。色々変な質問ってうってつけじゃないですか。個性を見て判断できますから。予想外の質問とかした時の反応を見て、自分と共鳴する所があるかを見ているんですね。質問される方からすれば「コノヤロー」って感じですが。笑 でも、そういう所で共鳴すると強いですね。ガッチリかみ合うとお互い気持ち良いですから。これ、相当な加点だと思います。
Yskの体験を書いてみますね。ガッチリ来た例です。とある会社の最終面接で、研究本部長から「休みの日、特に何もする予定が無い時、何してます?」って聞かれたんですね。最終面接でそれかよ、って思って面食らったのですが、まあ趣味とか当時好きだったこととかを答えました。はっきり言って、私の返事は面白くとも何ともなかったと思います。休みですから、だらだらしてます、とか答えた気もします。笑^^; しかし、心の中では「あー、しまった。ここでの加点は厳しい><」って思ってました。「どっかで加点もらうチャンスないかな」とも。
で、終盤にさしかかって、司会担当の人事の方が聞いてきました。「質問はないですか?」って。そこでYsk、ピンとひらめいたんですね。で、聞きました。「○○さん(研究本部長)。○○さんは、休日で何も予定が無い時、何してるんですか?」って。笑
そしたら、その答えが「私!? ・・・(沈黙)・・・酒飲んでますよ。わっはっは。笑」
Yskも思わず笑います。これ、ガッチリ来た瞬間。翌日に来た内定のお電話は驚きではありませんでした。


こういう部分って、お金で買えるものではありません。日々の心がけとキャラと少しの運ですよね。もう時既に遅しとか言ってしまう残念な人もいるかもしれませんが、一週間、一日でも向き合ってみるとだいぶ違います。

神は細部に宿る(God is in the details)

Yskは思うのですが、人間の魅力も細部に宿っているんじゃないかなって。
身だしなみ(ファッション)にしたって、オシャレな人ってかならず細部にこだわりがある。言葉遣いが巧みな人って、人一倍使う言葉に気をつけてる。知らない言葉をノートにメモっている子が友達でいるんですが、感心してしまいます。

そしてそういう細部に宿る魅力って絶対にお金で買えないんですよね。プライスレスなんです。そして、そういう細部の魅力がいつの間にか強力な武器になってしまう。

TOEICにお金や時間かけるのもいいですよ。(ま、TOEICできたからって英語喋れるようにならないですけどね。)日経新聞読むのも良いですよ。就活本を片っ端から読みあさっても良いですよ。

でも、人間に宿る細部の魅力には勝てないだろうな、そういうのって。

細部ですから、どんなに小さくても良いんです。誰にだってありますよ。自分と向き合ってじっくり考えたら。小さくて小さくて、人には伝わらないかもっていうの。そういうのでいいんです。でも、それが伝わった瞬間は強烈な印象を残します。個性、オリジナリティですよね。

そんな強烈な細部の魅力。それって何に起因しているのでしょう。
間違いなく「幸福感」です。小さくて強烈な幸せです。あなたはどんな時にそれを感じますか、ということです。これってお金で買えないんです。たまにありますよね、仕事やって仕事やってやりまくってやりまくって、疲れ果てて食べたひとかけらのチョコレート。「うううんんんっっっっっまぁぁぁぁ」って。笑 そのチョコレート買ってるじゃんって?笑 いや、まあそういう揚げ足取りは置いといて。そうは言っても100円みたいなもんですから、お金で買っているという表現が的を射ているとは言えないと思いますが。

Yskには兄貴がいます。そいつと話していて一致するのが、
「1本の缶ビールがすんんんんげぇぇぇぇうっっっっっっまい!!!」
って思えることをしたときが、小さくて強烈な幸せの代表格ってことです。笑
プライスレスっていうの分かってもらえますかね?^^
そういう積み重ねが細部の魅力に繋がっていくって僕らは考えています。
それがたくさんある奴って面白いって。
逆も。お金で掴んだ幸せはいとも簡単に消えてゆく。
お金で楽して手に入れた幸せを見せつけられても面白くとも何とも無いって。

やっぱり皆さんにもあるでしょう。そんな小さくて強烈な幸せ。
お金から生まれていない幸せ。ちょっと聞いてよって、思わずニヤニヤしながら言いたくなっちゃう幸せ。そういうのが魅力なんですよね、人間って。^^

ぶっ倒れるまで働いてヘトヘトになって帰宅して、湯船に入った瞬間の「うぃ〜」って感じとか。笑
あれこれ考えて調べて準備して、真剣に作った料理を食べて感動的に美味しかった時の「うぅぅぅんっめぇぇぇ」だったり。笑
偶然出会った音楽や絵画、その他芸術作品に心を奪われた時の込み上げる感情だったり。
旅先で五感で全身が受ける心地よい刺激だったり。

くだらない様ですが、そういう些細な部分が共感できる人って、すごく印象的です。そこを磨ける人って言うのは、人からも愛されるのだろうなって思います。
「あのこって面白いよね」ってどこから来るのでしょう?
小さな小さな所からじゃないですか?

神は細部に宿る。人間の魅力も細部に宿る。


学歴やTOEIC、部活やサークル。そんなお飾りが人間の魅力を物語るんじゃないんです。些細なことなんです。その人なりの小さな幸せ。
そういった部分が出せるようなチャンスが得られ、それを発揮して相手の興味をぐっと惹きつけられたら、強いと思いますね。

「就活をする君たちへ」では、だいぶ俯瞰的に、戦略的なことを書きました。今回は、すごく細かな所について書きました。
これらの二面性を追求してもらえたら、ひと味もふた味も違った就職活動になるんじゃないかなって思っています。受かるか知らないけど(おい!!w)、楽しくやれると思いますよ^^

以上、Yskでした☆
これから就活本番。幸せに終えられるように応援しています。頑張ってください^^

snowdrop。春の訪れ。可愛い〜^^
花言葉。「希望」「慰め」「初恋の溜息」
初恋の溜息・・・笑
人に贈ると「あなたの死を望みます」に変わる・・・!!なんだと?www

クロッカス。これもすごく可愛い。
花言葉(紫)「愛したことを後悔する」・・なんじゃそりゃ。笑

スイセン(たぶん。)鮮やかで綺麗です。
花言葉(黄)「私のもとへ帰って」「愛に応えて」

・・・なんでユニバーシティパークにはこんな花ばかりなんでしょう。。。笑


2014年2月9日日曜日

女の子の時代

こんにちは!Yskです。
日本では節分が終わって、立春。春の訪れを感じる・・・かも、ですか?
まだまだ寒そうですが、梅とか咲き始めるのが待ち遠しい感じでしょうか。^^

こちらは、と言いますと、えぇ、例よって雨だらけの鬱々とした毎日です。orz そんなに気温は低くないんですけどね。しかし、日中太陽が見られずにおまけに夜が長いんですから、そろそろこちらに来て2年が経ちそうですが、いっこうに好きになれません。イギリスでまずいのは料理じゃなくて冬の天気!僕はそう思います。

さて、今日はタイトルのことについて考えてみたんです。こないだ首相がダボス会議で演説した内容を読んだり、これから日本は女性の時代的なことが世間様の間で言われていたり。そんなんで、考えを巡らせてみたんですね。その時に、ふとした記憶が蘇りました。

こちらに来て1ヶ月ぐらいのこと。ラボの女の子と将来のことについて話していたんですね。大学に勤めたいのか、研究者として生きたいのか、それとも企業か。もしくは科学を辞めて別の世界に行くか。そんな話です。それで、特に嫌みではなかったんですが、彼女がポロリと口にした言葉が頭に引っかかったんです。それはというと、、
「西洋では女性の社会進出はすごい進んでるの。もうほとんど平等よ。」

・・・ん?西洋では・・・うん、つまりは、その。。。
はい。そういうことです。東洋では女性の社会進出が進んでいないことを前提に話しているんですね。いや、彼女は決して日本を(東洋を)バカにした感じで言ったんではないです。それは話していてわかります。カチンと来る人もいるでしょうし、マイナスに取れば「西洋文明の方が長けている、進んでいる」ということを意図した発言とも取れるかも知れません。しかし、そうではなかったと思っています。

いずれにせよ、少なくともこの西洋人の女の子は日本の女性の社会進出は進んでいないと思っているんです。実際、多くの西洋人の理解はそうだと思います。日本の女性の労働環境は西洋と非常に似通っているという話は耳にしません。
統計を見ても問題を抱えていることは確かだと思います。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/11gaiyou.pdf
細かなところまで読んでられないですが、女性の労働環境が整っていないことが分かります。

(余談ですが彼女の話の主題はそこではありませんでした。関連するので後述します。次回。)

はっきり言って人権問題なのか差別問題なのかは分からないですけど、この問題に対する世界からの日本に対する評価が極めて低いことは事実だと思います。それで、官僚の皆さんは大変に努力してこの問題を解決して世界での評価を少しでも良くしようとしてるんだと思います。その取り組みが現在、表に出て来ているんでしょう。女性の管理職の割合を30%に増やすとか、女性が力を発揮できる環境を整えると言った宣伝とか。

Yskは個人的に、こういった動きには賛成です。男性よりも女性が活きる場なんていくらでもあるでしょうし、そういった環境では女性が持てる力を充分に発揮してくれたら良いと思います。もちろん、現在の主観で男性向きだと思われる所に飛び込んで行くのだってありですよ。しかし、現在、日本の官僚さんたちが取り組んでいる一部の動きには賛同できない部分や疑問点があります。今回はここが出発点です。


納得出来ない部分は、数字先行の政策であるということと、数字を上げた所で快適で幸せな生活が待っているかが疑問な点です。実際に僕がいる界隈で見られる現象を挙げておきましょう。僕は今、職探しをしています。つまり日本に帰る準備ですね。できれば今年の内に日本の大学でポジションを見つけて、帰国したいと考えています。そこで、そういう職(一般的にアカデミックポジションという)の募集サイトを見るわけです。主に若手の研究者が見るんですが、いわゆるYskみたいなポスドク(高学歴ワーキングプアとか言った方が刺激的か・・・?)がたくさん見ているサイトですね。僕らが目指すのは「助教」という職です。国立大学が法人化する前は助手と言われていたポストですね。法人化した後も助手という役職は残りましたが、以前の助手にもう少しある意味での権限を与えたのが助教です。で、それを募集している大学の情報を集める訳です。

するとですね、女性しか応募できないポジションがあるんですよ。助教に限らず、准教授(昔の助教授)や教授も。研究の世界では現実として男性が非常に多い世界です。女性は決してチョー少ない訳ではないですけど、男女比には大きな開きがあります。それで、実際に女性のみを応募しいるポジションがあるわけです。
これ、女性にとっては朗報に思えます。(思えない部分だってありますよっていうのを意図して「思えます」って書くのですが。それは後述。)男性にとってはとんでもない話です。「なんで女性だけなんだー!数は男性の方がすごく多いのに!」って話です。

そうやって文句を言うと、女性軽視ということを言われそうですが、逆に男性が不平等に扱われているという言い方だって出来てしまいます。これ、結論から言うと、きっと文科省からお達しが来てるんだと思います。国家公務員や大学法人の役職に就く女性の比率を上げるところから始めようって。で、半強制的に女性のポストを作って増やす。
ま、乱暴に言えばそういうことです。

賛否両論あると思いますが、ちょっとオカシイですよね。少なくとも「普通」ではありません。フェミニズムをお持ちの方から言えば、「今まで散々女性の権利を奪って来たし、平等に扱って来なかったじゃないか。そのぶん返していただきます!」っていうのもあるでしょうし、男性からは「これは逆に男性差別。結局不平等!」ってことになります。ま、結果的に、大学に人事に関しては文科省は、男性の言い分は充分に把握しているものの、前者の立場を取ったことになります。そうでもしないと女性の管理職が増えるとは考えられなかったのでしょう。(実はなぜそうしないと増えないのかというのが凄く重要なんですけどね。これも後述します。)文科省に限らず、社会全体の女性の管理職を増やすという方向性を推し進める場合は、前者の立場なんだとYskは理解しています。それが世界的な評価を上げるのに最も簡単かつ有効な手段だと考えたのでしょう。(あくまで予想ですけどね。予想にケチつけるのは簡便してください。笑)

Ysk的にはこの件に関しては「オカシイ」と思います。理由はシンプルで、現場無視だからです。(官僚さんや政治家、大企業にありがちなお決まりのパターンですね。笑)女性を増やさなきゃというのは100%正しいです。賛成します。しかし、明らかにターゲットの女性よりもデキる男性を差し置いてでも、その女性を選ぶ、とかいう現象が起こり得ます。これって良いんでしょうか?優先すべきは組織の利益ではなくて比率という数字なんでしょうか?
もちろん、その逆が過去にあったでしょう。しかし、数年前や10年くらい前、ましてや2,30年前の状況を理由にして現在にそれを反映するっていうのはどうなんでしょう、と思うわけです。というより、ある意味、そう言った過去を取り戻す行動をして、それが現在に明らかにプラスな形で反映されるんでしょうか。。。もちろん世界からの評価は上がるでしょう。でも、日本国民は幸せになりますかね?大学に限らず、公務員だって、企業だって、優秀な人が役職に就いてよりベターな状況を生み出すから、その効果が下流に還元されるというのが普通です。それを無視してまで、数字並べをやらなければ逆に不利益を被ってしまうんでしょうか。勉強不足で分からないんですけど、現時点で僕にはその確かな「不利益」が思いつきません。あくまで道徳的な評価であり、死刑問題や鯨漁問題に分類されそうです。個人的には。もちろん、そういった道徳的な問題が回り回って経済に響いて来るというのは理解できますけど。でもそんなにとてつもなく大きいのかな、というのが疑問です。


こう書くと僕の考え方は男尊女卑的な考えに見えちゃいますけど、違いますよ。もう一度言いますけど、女性の社会進出や管理職比率の向上には賛成です。むしろ女性がそのようにできるシステムを早急に構築すべきだと思います。失業率だけに注目してしまうと職に就くのはすごく大変に思えてしまうのですが、一方で圧倒的にマンパワーが足らない世界があるのも確かです。女性がもっと思いっきり働ける環境を整えることは、国全体の生産力を向上させる上でも非常に効率的で効果的な対策だと思っています。
じゃあ、実質的な問題は何なのか。
そう、システムなんです。現在動いている方法論に関して、子育て環境の改善など、福祉政策は大筋で賛成できます。まだまだ全然足りないですけどね。もっともっと予算をつぎ込まないとダメです。一方で上手く機能しないなと感じるのが先ほどの「数並べ」です。官僚さんはこういった数字並べを基にした評価が大好きですが、これは無意味かそれ以下だと思われます。現場で混乱が生じるのは時間の問題だと思います。


またまた男尊女卑的な書き方になりそうなので、核心部に移ります。変えなきゃならないのは、男女比の前に「評価基準」と「ワーク・ライフ・バランス」なんです。


日本は女性の社会進出が遅れている。そう言われます。じゃあなぜ西洋は進んでいるんでしょう?考えたことありますかね?

僕の答えはいたってシンプルです。
「男が働かないから」です。笑
いや、本当です。本当に働かないんですよ。6時とか7時に平気で帰ります。夜9時くらいにボスから電話がかかって来たって知らんぷりです。僕はだいたい夜遅くまでいるんですが、多くの人から攻められますね。「お前のlifeはどこにあるんだ?」「哀れな生活するな」って。
な!なんと!哀れですと!?と始めはカチンと来てましたけど、もう慣れました。

でもこれが答えなんですよ。
男が日本人と比べて圧倒的に働かない。早い時間に帰る。家に帰って料理する。皿洗いも掃除もする。家事は完全に共同作業。家族とくつろぐ時間を毎日持つ。子育ても共同作業。家族がいない若い人も、彼女なり彼氏なりと過ごす時間をしっかり持っている。生活の中に精神的豊かさがある。そういうことなんです。
ですから、子供がいたって変わりません。お父さんとお母さん両方で面倒見るんですから。日本のお母さんに比べたら家事の量は半分、それ以下の場合だって多々あります。今、僕のグループに結婚している博士学生の女の子がいるんですけど、旦那さんが毎日お弁当と夕食を作っているみたいです。

「まーた、外国の話持ち込みやがって!」というあなたは少し早とちり。笑 まあもう少しお付き合い下さい。じゃあ何でそれができるか、です。
一つは給料が年俸制であること。これです。長い時間働いても意味ないんです。給料変わらないですから。いなければならない時間だけ働いて、帰れる時間になったらすぐに帰って仕事以外の時間を楽しむ。これが、ちょーちょー普通なんです。でも、成果が出ないと昇進はできません、もちろん。日本以上に成果主義なんですから。だから仕事時間中の集中力とか忙しさ具合は日本人よりも上だと感じることが多いです。日本なんて、残業代稼ぐためにわざとノロノロと仕事している人がいるくらいですから、大違いですよね。笑

二つ目は共働きが当たり前ということ。それができる社会環境が整っているということです。日本の場合、お父さんが死ぬほど働かなければならない理由は、そうじゃないと家に入ってくるお金がもの凄く少なくなってしまうからです。個人の年収というより、世帯年収で考えるのがこちらでは普通です。家事の負担も経済の負担も半分半分で分け合おうということですね。一歩引いてみてもこれって合理的なんです。一般的にだいたい年収800万円くらいあれば平均的にかなり裕福な部類に入ると思いますが、一人で800万円目指すより、二人で400万円ずつ頑張る方が相当に楽だと思いますけど、いかがでしょう。
少なくともイギリスではそういう感じです。というか、平均年収なんて日本人の平均より少ないですが、社会福祉がしっかりしている分、日本よりもだいぶ幸せに見えるんですよね。
これから家庭を持つ僕ら若い日本人は、個人の年収じゃなくて世帯年収で考えるのは、とても良い方向だと思います。


以上の2つを改善すると、だいぶ男女がフェアな感じに近づくと思います。しかし、これ、言うは易しやるは難しです。もっと根本的な問題は、日本の「評価基準」です。
西洋とは大きく状況が異なります。こちらは基本的に早く帰宅するので、’’そもそもの働く時間が平等''なんです。男も女も労働時間が同じ。フェアなんです。さて日本の場合は?
平均して男の労働時間が長いですよね。西洋の人達から見れば「アホ」とか「哀れ」と見られるくらい、労働時間が長いです。しかももっと悪いことに、日本には「頑張っている人を評価する」という、ある意味で良くない評価基準が暗黙の了解であります。結果主義、結果主義と声高に言われるようになったものの、未だに状況に大差は無いと感じます。結局、人の2倍3倍頑張っている人がまず第一に評価される。だから必然的に労働時間が長くなる。だって、その方が圧倒的にアピールしやすいですし、分かりやすいですからね。
西洋の場合は、もう文化が違いますから、長く働いたからって評価されるとは限りません。単純に結果。それ以外にもバーソナリティ、いわゆる人物評価みたいなもんです。それもただ長い時間労働する根性がある、みたいな極めて東洋的な話じゃなくて、プレゼンの力とか、機転が利くとか、論理展開に長けているとか、そういう部分です。この評価基準の違いが、男女をフェアにしていることは間違いないと、僕は思っています。実際、僕の研究棟でも、僕以上に長時間労働する人がいるんですが、残念ながら評価が高いとは思われていないみたいです。むしろ本当に哀れに思われていて、僕的には本当にかわいそうに思います。何と違う世界なんでしょう。

さて、日本が見直さなければならないのは、まさにこの評価基準です。年俸制を導入した会社も多くあります。しかし、実態はどうか。長時間労働したって給料は変わらないということが、逆に会社がいいように社員をこき使えるようにしてしまっている場合があるようです。だって残業代を払わなくていいわけですから。はい、これも、悪の根源はその評価基準。長時間労働を暗黙的に奨励するという、それです。もう、これ止めたくなりません?笑 この評価基準、一刻も早く無くしましょうよ。労働時間の平等性を確率しましょうよ。


労働時間も平等。年収は世帯年収で考える。家事分担も平等。評価基準を是正する。社会福祉を充実させる。こういったシステムの改善や世論形成、フェアという意識が育てば事態は確実に好転すると思います。必然的に女性の社会進出は高まるでしょうし、労働力不足もある程度改善するでしょう。多くの男性も女性もストレスから解放されるかも知れません。子育てだって負担がぐっと減るでしょう。家族の団らんは増え、寂しい思いをする子供も減ると思います。両親とのコミュニケーションが充分に取れない子供の悩みも随分と少なくなると思いますし、発展的には少年少女の自殺問題などでの改善が見られるかもしれません。子供の教育を全て学校の先生に押しつけるなんていう、無責任な親も必然的に減るでしょうし、もっと踏み込めば、夫婦の時間と余裕が増えて少子化問題の改善に繋がるかも知れません。いや、真面目に。

ということで。ずいぶんと西洋スタイルの宣伝をしてしまいましたが、自分が考えるに大切なことだと思います。特に女性の社会進出を心から支援したいなら、必要不可欠なことです。

自分が学部生の頃から数年間、キャリアウーマン的なバリバリ仕事をする女性が注目を浴びて、男性のフィールドに飛び込んで行く、たくましい女性が多くいました。尊敬に価します。しかし、本当にそれが幸せの道だったかというと疑問です。結局、男性有利のフィールドに男性のやり方で飛び込んで、疲弊してしまた女性が多くいると思います。もう一度言いますけど、その姿勢は極めて尊敬に価するんですけど。その反動は確実にあって、今の大学生では、そう言ったハードワークを避ける傾向にあるようです。つまり、思い切って体力勝負の評価基準に身を投じたものの、男性に勝とう勝とうとした結果、限界を迎えてしまったという見方ができます。変えなければならないのは、評価基準なのです。数字並べじゃないんです。
前半にも書きましたけど、僕のいる世界で現在の評価システムのままで女性の教員を増やそうとすれば、徹夜なんて当たり前的な修行を何年も続けることを、女性に強いることになります。そうじゃないと男性が黙っているわけありませんから。でも、それって双方にとって幸せに思えないのは私だけでしょうか。
くどいですが、もう一度。変えなければならないのは、評価基準なのです。数字並べじゃないんです。


僕の展望に賛同してくれる人にお願いがあります。絶対にネガティブな方向で動かそうとしないでください、ということです。あれがダメ、これがダメ、だからダメ。こういったやり方で社会が大きく動くことは極めて難しく、極めて希だと思います。もっとポジティブにやって欲しいと思います。特に、女性の方に。これから社会を築いていくであろう、若い女性の方に、誇りを持って評価基準を変える所、世論を形成する所からじっくりと取り組んで行ってもらいたいと思います。女性の女性による女性のための行動です。
女性が上手く組み込まれて社会進出することが、どれだけ社会の、経済活動全体の、会社の、社内の一組織の利益になるのかをアピールすることが大切だと思います。男性社会の男性的な判断基準に対して、それを変える利点を明確に提示するのです。
女性がワーク・ライフ・バランスを良い形で維持できる組織や会社に、労働者としても優秀な女性が集まる。そういった自然な流れが理想的です。女性と男性の本当の平等性を確立し、女性が活躍できる平等な場を構築し、そこに優秀な女性が集まることによって、会社全体のマンパワーが増大し、パフォーマンスもよりパワフルになり、最終的に会社が利益を得る。そしてそれは男女平等に社員の給料へと還元される。それに大きく貢献した人が正当な評価を受ける。勿論、前提が整っている分、そこに男女の不平等はもはや存在しないはず。

こういったストーリーを、自信を持ってアピールできる、凛々しくて賢く、強くて優しい女性は絶対的に必要です。しかし、別に完璧である必要はありません。一人一人の女性が女性的な観点で少しずつでも意識を高く持って取り組めば、着実に事態は改善していく物と、僕は思います。男性の視点ややり方に流されず、それに屈することなく、幸せな生活をシンプルに純粋に求めて、女性が存分に活躍できる社会を、女性自身の手で作り上げて欲しいと思います。

今回はここで止めます。女性の社会進出について考えを巡らせたYskでした。

しかし、思考は続きます。西洋でも女性の社会進出の砦はまだあります。研究界や学術領域です。もう一つ。投資会社などの金融機関も。これについては、もう少し考えてから書いてみたいと思います。


Yskでした^^/

朝9時過ぎて(1時間遅刻)この太陽の位置だもんなあ。。。笑