英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2014年7月21日月曜日

スイス鉄道の旅

こんにちはYskです。
今回も旅行記の続きです。今日はパリからスイスへと向かいます。

兄貴とパリで別れた後は、鉄道で8時間かけて次の目的地、サン・モリッツ(St. Moritz)へと向かいます。遠い遠い、でも楽しみな旅です。今日は一人旅。
朝10時半。フランス・パリ・リヨン駅を出発。晴天なり。


リヨン駅で30分ほど電車を待っている。荷物がぐちゃぐちゃになってしまったので、整理しようと色々とかき出していました。何が問題かって、兄貴が(バカみたいに)大量に日本から持って来てくれたボールペン。いや、5本とかならすごくありがたいんですけどね。。。(イギリスのボールペンを始め、文房具の質はあり得ないです、ちまにみ。そして高い。日本でそのまま売ったら商売にならないでしょう。笑)
で、そのボールペンが軽く100本くらいあるんですわ。ほとんど新品の物ばかりですが。それが邪魔で(すまん兄貴w)荷物をひっくり返して整理していると・・・・
目線に気がつきます。誰かがじーーーーと見ている・・・笑
はっ!!5メートル隣のオッサンが見ているーーー。笑 で・・・思った通り話しかけられる。お決まりでフランス語。意味不明。笑 が、とりあえず、そのボールペンが気になる様子。と言うことで、一つ見せてあげる。西洋の方々には、日本式の4色ボールペンとかが大変珍しいらしく、別の色の部分を半押しすると出ている色のペンが引っ込む方式にびっくりしては感心している。笑 

で、彼は言うんです。「3ユーロ!?」・・はい、売ってくれと。
一瞬売ろうかなと思ったのですが、兄貴からタダでもらったボールペン、こそこそ売るのも何かなあ・・・と思って。気前よくw「やるよ、やるよ。持って行って」って言ったら嬉しそうにポケットにしまってくれました。

・・・そしたら、、、隣のおばさんがニヤニヤしながらこっち見てます。「欲しいの?」って聞いたら。首をコクリ。はい、差し上げます。まだ100本くらいあるし。笑 ・・・・と、次の瞬間人だかりが!!笑 僕の周りにボールペン欲しい人が10人くらい集まってしまったのです!!笑^^; すげー。
兄貴には申し訳ないですが、30本くらいはあげてしまいました。だって、皆さん本当に嬉しそうにしてるんだもん♪ ジャパンクオリティすげーぜぇ。
ちなみに、そのボールペンはラボに持ち帰って一週間で全て持ち去られてしまいました。あっという間。大人気です。ハウスメートにも少しお裾分けしたのですが、彼のラボでも同様だったそうです。まっこと、さすが日本!

ボールペンを整理した後、日本に電話。少しだけ。そこで前回書いたフォアグラが美味いぜっていう自慢話をしていたのですが、それを盗み聞きしていただいたらしく、通話後に後ろの日本人の老夫婦にYskが行ったお店を聞かれたので教えてあげました。
構内。改札というのは無い。

さ。乗ります。TVGでまずはチューリッヒを目指します。所要4時間。パリから東へ向かう電車に乗るのは去年と同様。牧草地とか菜の花畑とかそんな感じの平凡な景色が続きます。うかうかすると完全に寝てしまいます。電車に乗っている時間は、景色を楽しんだり、昼寝をしたり、また読書をしたり、仕事のやっつけ仕事をこなしたりするのがYskの通常ですが、今回はproof readingです。ラボの博士学生から、博士論文のSIの査読をしてくれと依頼されていたので、やっつけ仕事でNMRその他のデータ等を読んでいました。もちろん、うつろうつろしちゃいます。そんなYskですが、途中で状況が一変します。
途中駅大学生と思われる女の子が隣に乗って来ました。どっかお出かけかな、、、と思っていたら、プリントのレジュメを開いて勉強し始めました。それが、なんと有機化学!!笑 専門なのでついつい気になって覗いてしまいます。笑 学部生か大学院初期のレベルだねー。しかし、彼女には難しいらしく首をかしげながら、構造式を書いたり消したりしています。「あ〜ちゃうよー。だめだめw そっちには行かない・・・w うん、そこそこ。」とか心の中で思っていたのですが、ついに我慢出来ず。笑 話しかけてしまいました^^; 彼女にも僕にも英語に難があったのですが、有機化学って構造式で語れるから通じます。サイエンスの素晴らしいところです。彼女は知識の整理が出来ていなかったみたいで、色々と1時間近く話している間に、電子の偏りの基本的な考え方からカルボニルの化学、それから6員環構造の基本的なコンフォメーションに関して理解してくれたみたいです。最後の方なんか、目をキラキラさせて「あーーわかった!!」って感じで。笑 Yskの方が嬉しかったですねー。日本で学生に教える日が来たら、日本の学生もこんな感じになってくれるかなあ^^

彼女に丁寧にお礼を言われてお別れ。そこから1時間くらいでチューリッヒに到着!早かったー。Yskスイス初上陸です♪わくわくo^^o
目的地はチューリッヒじゃなくてサン・モリッツなのでここから乗り換えです。まずはChurまで行けとのこと。はい。で、電車は何番線で何時発でしょう、、、事前に買った切符には書いていません。なのでインフォメーションで聞きます。すると45分後発。
おー、少し時間あるじゃんか!
チューリヒ・ハプトバンホーフ。到着。ええ感じ。


迷わず駅の外に出ます。天気最高だ!あっつい!!そしてチューリッヒ綺麗☆これ日本人好みの街だな、きっと。一瞬でチューリッヒの魅力にとりつかれます。しかし、電車に乗る時間を考えると自由時間は30分。さあどうしよう。。。どうやら20分くらい南に歩くと、チューリッヒ湖に着くらしい。じゃ、行くか!走れば往復30分!!ちょうどいい。笑
ここでは散歩じゃありません。ランニングです。ボストンバッグを背負ったまま。笑 街は本当にキレイ。清潔でしかも高級感があります。時計屋さんがやたらとあって、お金持ちの街なんだなというのが分かります。しばらく走ると、見えました、湖。気持ちいい♪スイス最高!!☆^^v もちろんここでもJapanese。
チューリッヒ湖へ向けて・・・走る!!

美しいってのもあるけど、クリーンな街だ。

旗がいいね。旗が。

チューリッヒ湖。水がキレイ。

チューリッヒ湖に注ぐ川より。あっちの家とか毎日景色が最高だろうなあ。


さあさあ、大急ぎでチューリヒHBFにとんぼ返りです。結構本気でダッシュして間に合った〜。電車に飛び乗りChurに向かいます。あー喉渇いた>< なけなしの水をがぶ飲み。なんでなけなしかって、スイスの物価はめちゃめちゃ高いんで><><!!水とかあり得ないくらい高い!!なのでフランスで3リットルくらい買ってきたんですよね。だから荷物がごった返していたっていう・・・笑

電車はチューリッヒ湖畔を走ります。この街に住んでる人は絶対リッチだと思います。そう思わせる家ばかり湖畔に並んでいます。偶然にも本日は絶好のお天気。湖畔に繋がる庭を持った家々で、家族が水着になりながら日差しを浴びて気持ちよさそうに寝転んでいます。なんとゴージャスな休日!少年少女は湖で泳いでいます。水がキレイだからいいなあ。雪解け水だから、キレイだけどすごい冷たい水なんじゃないかと思うのですが・・笑

車窓からの風景。乙。


湖を後にすれば次は山。凹凸が激しい山々は見ているだけで楽しいです。雪が削ったてできた山渓なのでしょう。日本のように噴火を繰り返して出来たと思われるなだらかな物とは違います。もちろん、最初の最初は噴火で隆起したんですがね。自然の力と地球の歴史を感じます。1時間以上乗っていたので、山の写真を撮りまくったのですが、写真ではこの景色を伝えるのは難しいです。でも確実に楽しい電車の旅です。
湖越えたら山。山。山。赤い電車がよく似合う。

Churに着きます。もうここはスイスの田舎町。ここから目的地のサン・モリッツへと向かいます。ここからは登山鉄道。現代的な電車ではなく、少し古めの電車。でもこれが良いんだ♪窓から顔を出して気持ち良い風を浴びる。手を出して写真をパシャパシャ。奥に入れば入るほど美しい田舎感が増して、心を躍らせます。スイスの田舎いいなあ〜☆
よくよく調べると、ここの鉄道はイタリアに繋がるのベルニナ鉄道と並んで世界遺産に登録されているんですね!!どうりで美しい訳だ!今度来た時は必ずこの辺の駅で一泊しよう。そんなことを考えながら夢中でパシャパシャ。スイス最高!これ、日本人がスイス好きになるのすごいわかる気がします。だって清潔でかつ美しいんだもんね♪
窓から顔出して。笑 サン・モリッツへ。 気持ちいい〜

ベストショットの一つ。今度来たらここに一泊しよう☆

いいーっしょ??いいーっしょ??最高っしょ??笑

車窓から顔を出さずにいられない。笑 雪山が綺麗だ。夕日に輝いている。

見るからに別荘地。別荘買うならここでしょ!!お金持ちの皆様!!笑


山という山の合間をくぐり抜け。谷という谷にかかった鉄道橋を渡りきる。するとサン・モリッツに到着です。ここでハウスメートと待ち合わせです。どうもスイスでこんにちわ。彼はミラノでイタリアを体験してから例のベルニナ鉄道で来ました。このサン・モリッツは冬のリゾート地として有名らしく、春の現在はそれほど多くの人はいません。少し寂しい感じもするのですが、静けさは心地よくあります。
レストランを探します。シーズンではないので、多くが締まっていて探すのに苦労しましたが何とか見つけました。さ、旅で空いたお腹を満たします。
まずはドイツ名物だと思っていた白アスパラガスを堪能します。調べて分かったことなのですが、スイスって周りにフランス、ドイツ、イタリアってあるので、その影響をもろに受けているんですね。だから、独自の料理ってそんなに多くないみたいです。サン・モリッツはロマンシュ語圏に入るみたいですが、ほぼイタリア語が使われているように思いました。もうロマンシュ語ってそんなに多く使われていないんですかねー。
料理もイタリアに近いですし。彼はベルニナ地域で育ったビーフステーキを堪能します。自分はスイスハムとパンです。アスパラガスにつけるソースと一緒に。美味しい♪
・・・しっかし、高いですよ、スイスは。笑 このくらいの食事で一人40CHFくらい!これだけは頭を抱えるところですねえ。まあ、これを予想して、フランスで朝ご飯を大量に食べて、コンビニのパンを持ち込んで耐えてきたのですがね。笑 

サン・モリッツ到着♪テンション上がる!!

サン・モリッツ湖と雪山。最強。

食事の風景。アスパラガス。思った以上に美味い。


ホテルも高いのがスイスなんですが、二人で1万円くらいの所に取りました。朝ご飯付き♪
ホテルからの景色も良好です。朝ご飯はブッフェスタイルで大量に食べられます。今日も長旅ですからねー。食べまくりますよ。ここで食べて昼飯抜いてやるー。笑 (情けない三十路の男。泣)朝ご飯を食べたら荷物をまとめてサン・モリッツを後にします。サン・モリッツ湖畔を歩いて駅に向かうのですが、その景色は最高。日本だと日光の中禅寺湖付近の景色に近いかなあ。気持ち良い朝です☆

朝のサン・モリッツ。いいわ〜

空気がキレイとはこのことを言うって感じ。自然と深呼吸☆

そりゃ鴨だって気持ちいいわ!♪

ベンチが好き。こういう所でゆっくりするのをいつも妄想してしまう。笑


さーさー、こっから鉄道の旅がまた始まります。今日は世界的にも有名なグレッシャーエクスプレスに乗って8時間かけてマッターホルンの見えるはずのツェルマット(Zermatt)を目指します。朝10時発で夕方6時着の長旅。ひたすら山間を駆け抜けます。しかし、スピードはちょーーーゆっくり。世界一遅い特急電車のようです。じゃないと、景色を楽しむことは出来ませんがね。笑
出発です。まずはChurまで下るみたいです。あれ、これ昨日来た道。笑 まあいいや、ということで、昨日見た景色をもう一度堪能します。電車はとても近代的で天井の方まで窓になっていて景色を広く見渡せる作りになっています。うーん、でも個人的には窓が着いている古い電車の方が好みかなあ。。。しかし、そういう電車じゃまずい事情もあるんです。なぜなら、この電車は氷河鉄道だから!夏でも雪にまみれた高地を通過するため、窓は開いていない方がいいんですねー。うーん、それでも顔を出せる窓があって欲しいなあ。笑

さあ乗ろう〜♪♪

さー出発!いきなり写真に夢中なYsk(house mate提供)
車中の様子はこんな感じ。臨場感伝わる写真です。笑

Churまで戻ったらそこからまた登り始めます。写真で伝えるのはすごい難しいですが、景色についつい見とれてしまいます。しばらくすると、食事の時間です。事前に申し込めば氷河特急特製料理が食べられます。。。。が、自分たちはNOです。笑 だって、この昼食でも40CHF以上するんだもん!笑 本当に物価高いですよー>< 隣のご夫婦の食事風景を見ます。前菜の後に、チューリッヒ風ビーフストロガノフ。ライスとパン付き。量やや少なめ。飲み物に、飛行機で見るみたいな小瓶のワイン。もしくはビール一缶。で、デザート。おしまい。え!!ってくらいの量。笑 あー、これで40CHFは無いわ。笑 よかったー、頼まなくて。これ食べてたら完全に怒ってたわー。笑 ということで、こちらはフランスから持ち込んだパンに蜂蜜を塗ってパクパク^^; いーもん、いーもん、夜に美味しい料理食べるから!!

さーさーどんどん登りましょう〜

高い所はこんな感じ。写真より生がよし!

電車はドンドン進みます。途中駅にも泊まります。ここから乗るのも可能ですから、その途中駅で一泊したりハイキングを楽しんだりするのもアリなんでしょう。アルプスの山々をハイキングっていうのもイイですねー。こんど計画しようかな♪
文章でこの鉄道の良さを伝えるのは本当に難しい。でも、イイ旅なんです。めまぐるしく変わる景色。高度も低いところだと600mくらいですが、高いと2000mを越えます。それに合わせて植物とかも変わりますし、山肌も変わっていきます。
これは一生に一度は試す価値がある鉄道だと思います。
停車駅でちょっと降りてまた写真。晴れたらもっとキレイだ。

もうすぐ終点。晴れてきた!!


長い長い旅の終着点、Zermattに着きます。ここは年中を通して登山客が訪れます。街は小さいですが可愛いくも美しくもあります。日本では妙高市と姉妹都市にあるらしいですが、雰囲気が日本の山間の街と似ているっていうのはわかります。日本人にとっては馴染み深い雰囲気です。山の天気らしく良かったと思ったら急に曇って雨も降り出すという変幻自在の天候。電車に乗りながら、マッターホルンが見られるだろうか。。。と気を揉んでいましたが、到着後の天候は良好。夕日が射していました。

さて、マッターホルンを探します。どの辺か?駅からは見えません。どこだろうっとホテルの場所を同時に探しながらキョロキョロします。しばらく南に行くと・・・「あーーー!!」でっかい山の中腹を発見!あれですね、きっと。しかし、頂上は見えません。。。
ツェルマット到着!うーんマッターホルン・・・

業界?では、山の姿を女性に例えるみたいで、マッターホルンやフランスとの国境にあるモンブランを美人というそうですが、そう簡単に美人を拝むことはできないようです。それも世界屈指の美人だとか。。。笑 ま、そんなもんか、明日もあるし〜とかぶらぶら歩いてホテルを探します。でもやっぱり美人は気になるのが男というもの。振り返り振り返りしながら、山の様子をチェックします。・・・するとどうでしょう。だんだんお顔にかかっている雲がはれて行っている気がします。これはこれは?ひょっとすると?

おーーー!?

おーーーーー!?おーーーーー!?

おーーーー!?おーーーー!?おーーーー!?

・・ということでダッシュでホテルに向かいます。鍵をもらうのに一苦労でしたが、とにかく鍵をゲットして荷物を置いて、再度出かけます。ホテルを出て美人の様子をうかがいます。・・・キターーーーー!!!!笑 マッターホルン全開!!すごいです☆
こんな山見たことありません!!感動の拝顔です!!
きたーーーーーー!!!☆☆☆

拡大図。キレイだー。美人って言われても納得。

夕日に輝いている様子が何とも美しい。この山を美人な女性に見立てて表現する人の気持ちがわかります。飽きることなくどんどんパシャパシャと写真をとります。何枚とっても飽きない感じ。っていうより満足しない。どうやったら一番綺麗で美しい姿を収められるか、夢中になってシャッターを切って画面を確認。。。あっという間の時間でした。日が暮れ出します。超絶美人のお顔は段々とおぼろげになっていきます。次の雲もやって来ます。途中で見えた、雲を腰に巻いた感じも良かったです。セクシーな山ってこういうのを言うんですね。日本のThe 山、富士山には富士山なりの美しさがあると思いますが、それとは全く違ったセクシーな美人を拝むことが出来て幸せでした。

美人のお姿を堪能した後は、お待ちかねのお食事。もう今日は大した食事を取っていませんから、ここで奮発します。散々レストランをチェックした挙げ句に入ったレストラン。雰囲気も良い感じで、値段も良心的です。
まずはもちろんビール。それもスイスビール。乾杯。美味い!やっぱ旅先のビールは美味い。旅っていいなって思えるこの瞬間。大好きです。
さーて、食事は。まずはスイス名物、ラクレット。ゆでたジャガイモの上に溶かしたチーズを乗せて食べます。付け合わせにピクルス。シンプルな料理ですが、意外と美味い。チーズが特別なチーズらしく、こくがあって美味しいです。パクパクと食べてしまいました。お次はフォンデュ。スイスと言えばって感じですね。美味しいです。しかし、自分はラクレットの方が好きかな。ワインやリキュールを入れているので、その風味が出て、苦かったり香りが甘かったりします。自分には少し苦すぎる気がしたのです。でも美味しいんですけどね。ゆでたエビとか野菜とかにもつけて食べようと思ったのですが、「それはアメリカンスタイル。スイスではそんなのありません」って怒られて終了。笑 はい、じゃあおとなしくシンプルで行きましょう。美味しいですから、文句はありません。満足満足。個人的にはパンにつけるよりも、ゆでたジャガイモにつけるのが好きでした。
ラクレットにビール。うんまっ!!

フォンデュ。個人的にはラクレット派。

ビールに食事に満足した後は夜の散歩。気持ちいい〜。いい田舎町です。ホテルに帰って就寝。明日は晴れるかな。。。

夜の街。散歩いいかんじ。

って祈って寝たのに、翌日は雨。。。昨日のマッターホルンはどこへやら。。。山の姿が全然見えません。ゴルナーグラード鉄道で山の展望台まで登ろうと思ったのですが、登っても何も見えない模様。昼まで待つことにして、ショッピングを楽しみましたが、天候に変化は無く。残念ですが、今回展望台に行くことは諦めました。

こうなったら食うしかない。早めに昼食です。昨日食べられなかったローシュティと大きなソーセージ。タマネギソースかけ。そしてもう一度ラクレット。もちろんビール。ゴルナーグラードに乗れなかったからお金に余裕あるもんね!
はい、で、来ました。うーん、やっぱりラクレット美味しい。このローシュティも大好き!スイスで食べるならこの二つだと思いました。ごめんなさい、どうもフォンデュは自分の好みじゃないみたいですね^^;
ローシュティとソーセージ。タマネギソースかけ。これは気に入った!!

お昼を食べたら、帰路に向かいます。行き先はジュネーブ。早めに電車に乗ってvisp、ジュネーブへと向かいます。時間があったら、途中のローザンヌとか寄って見たかったのですが、今回の旅ではちょっと難しい。次回ですね。

ジュネーブに到着。空港までは更に電車で10分くらい。出発時間までもう少しあるので、ジュネーブを散策です。うーん、今日はやっぱりお天気があまり良くない。。。でも仕方ない><
ジュネーブは国際都市という感じで、スイスっぽさをあまり感じさせません。ヨーロッパっていう感じですね。チューリッヒ同様にお金持ちの街という雰囲気が漂っていますが、Yskはチューリッヒの方がスイス!って感じがしました。これ、晴れていたら、きっと印象が随分と変わるのでしょうがね^^;
ジュネーブ。近代都市だー。

何かパーティしてる?

花時計。お天気が。。。

レマン湖と大噴水。こりゃダメだ。笑 天気の良い時に出直し!!


1時間半ほどジュネーブを散策して空港へ。
パリから始まってチューリッヒ、サン・モリッツ、ツェルマット、ジュネーブ。あーイイ旅だった!スイスの魅力はまだまだあるね。次はイタリア方面から来ようかな。

Yskでした。
長い日記だったwww

2014年7月12日土曜日

パリを歩く II

こんにちは。Yskです。
前回からずいぶんと間が空きましたが、記憶はまだしっかり残っています。旅行で撮った写真を見ながら回想です。

今回もパリを歩きます。マドレーヌ広場のカフェでフォアグラソースのパスタを食べた後はホテルへ。一休みして夕食を探しに行きます。

昼に贅沢したから(って言ってもそんなに高くないけど。。)、夕食はコンビニでいいか。
フランスでスーパーと言えばmonoprix。モノプリと読むらしい。そのコンビニバージョンがmonop'(モノップ)。そのどちらか無いかなあ〜と適当に歩きます。これ、日本人感覚丸出しですよね。笑 その辺まで行けばコンビニあるだろ、的なw ま、いいんです。きっとあるでしょう♪

もう日暮れが近づいています。ホテル周辺のパリ北東部ってのは、なかなか特徴的な街並です。正直、パリって感じがしないんですよね。生粋のフランス人がいないっていうか、そんな感じw 多いのは圧倒的に黒人です。アフリカからの移民が多い地域なんだそうです。酔った彼から「ニーハオ」と言われまくりながら歩く始末^^; こちらは生意気にボンジューッって返す。それですたすた歩きます。・・・・しかし、無い・・無い・・・無い!笑

この界隈はフランスというよりも、アジアの旧フランス植民地みたいな雰囲気が漂っている気がします。カンボジアとかベトナムとか。そんな感じのちょっとさびれた感じの。。。笑 アジア諸国に行ったことある人ならわかってくれるんじゃないですかねー。
とか考えながら歩くも・・・しっかし、コンビニ見つからない。笑 やっぱり日本とは大違いなんですねー。シャトールージュからパリ北駅、パリ東駅まで来てしまいました。意外と無いんだなあ、コンビニって。。。
振り返ると日が完全に暮れつつあります。しかし、その空の景色がまたいいんだな。
暗がりの北駅。いいねえ。車邪魔だけど。笑

あー、綺麗だー。とか言ってもコンビニは無いわけで。。。ひたすら歩きます。東駅の周りをウロウロと彷徨っていると・・・・ついに見つけた!!mono'p。笑
テキトーにパンとか買って撤収。もう夜も遅いのでスタスタと早歩き。ホテルへまっしぐら・・・と思ったら、ホテルの近くにmonop'もう一つあるやんけ(T T)(T T)
完全に見逃していました。汗 ま、夕焼け見られたからいいか。笑
はい、ホテルに帰ってパンを頬張って就寝。


翌日。彼はまた学会へ。Yskはまた散歩。今日はシテ島あたりを。
ホテルから歩くのはもうしんどいので、まずはサン・ポール駅まで地下鉄を使います。マレ地区に着いたらそから、シテ島、ノートルダム大聖堂を目指してセーヌ川沿いを歩きます。今日の天気はまずまず!ルンルンで歩きます。散歩っていいよなあ。

相も変わらず道をテキトーに歩きます。まずは大きな通りから少し奥に入って、裏手を覗きます。するとパン屋さん発見。見るからに美味しそう♪ってことで入ります。相変わらずフランスの方々は英語が喋れませんが、意地になってあーでもないこーでもないとやりとりをしながら、とりあえず焼きたてのパン(みたないやつw)を購入。店を出て早速口に入れてみます。ええ感じー。意外と美味しいですね。ほうれん草たっぷりのパン。これ、フランスのパンじゃなくて、アフリカ由来のやつですね、きっと。ま、美味しいからいいか☆
しばらくもぐもぐしながら歩くとマーケットに出会いました。チーズ屋さんや肉屋さんが並んでいます。思わず立ち寄ってパシャパシャとdo Japanese。さっきパンを食べて無ければここで何か買ったのにーーーーって悔しがって後ろ髪を引かれながら、おさらば。
マーケット発見。実は土曜日の朝は至る所にある。

丸焼きコーナー。地味にえぐい。

チーズの種類の豊富さはハンパ無い。日本でもこれやってくれ!


さて、ノートルダム大聖堂を目指します。その前にパリ市庁舎がこんにちは。どうもお久しぶりです。お変わりなく美しいお姿で。こんな市役所で働いていたらさぞかしパリを好きになるでしょうね。日本の殺風景なビル一棟なぞとは大違い。かといって、日本の市役所がお城だったとしても変な感じがしますが。笑
イイ感じの市庁舎。前回は花とか飾ってあったんだけど。。。


さあ、大聖堂、大聖堂。やっぱりデカイ!荘厳に満ちた姿は圧巻です。ゴシック建築の最高傑作と言われますが、その通り。素晴らしいの一言。個人的にはゴシック建築っていうくくりではイギリスのカンタベリー大聖堂が世界一なんですけどね。でも、ノートルダムもすげー。いつも通りなんでしょうが、周りには人、人、人。そして皆さんdo Japaneseしています。面白いのが中国や韓国の方々。セクシーポーズみたいなのするんですね。そう教育されているんですかね^^; 
青空バックならもっとイイのに〜。と、妄想を誘う。

学会に行っている彼が、モンパルナスに昼までに来いと言うので、そこからモンパルナスを目指します。意外と時間が無いので早歩き。スタスタ。スタスタ。スタスタ・・・・・
モンパルナス遠い!!そしてあまり観光名所的な所が少ないので、若干つまらん。。。
途中でそびえ立つモンパルナスタワーが見つかるはずだから、それを目指せばいいや。と安易に思っていましたが、実際見つからない。笑 とにかくウロウロ歩きます。四苦八苦しながら、とある大通りに出ると左手に、やっと見えました!モンパルナスタワー!!でっか。。やっと着いたかと思ったんですが、タワーがデカイんで近くにあるように見えるだけ。。。笑 そっから20分くらい余計に歩きましたかね^^;
やっとモンパルナスタワー近くの学会会場のホテルに到着〜。ふいー。疲れた。。。
ロビーで待っているんですが、あいつが来ない来ない。お陰様でお昼寝。。。


30分くらい寝たら奴が来ました。お腹空いたーーー。って思って飯食いたいって言ったら、奴はもう会場で食った・・・っておい!!昼に会場来いって言うから昼飯傲ってくれるんかと思ったじゃんか!!って事で言った先は・・・・例のmonoprix!!爆(T T)
なんか空腹も失せて水だけ買って出ます。もう歩くの嫌だったので電車でマドレーヌまで向かいました。マドレーヌに、オカンが欲しいって言ってた時計屋さんがあるので、そこまで行ってお買い物。その時計屋さんのおばさん(お姉さん)がまた英語できないんだ>< 苦労して説明を受けたりアドバイスもらったりしながら、悩みに悩んで・・・結局1つに決まらず2つ購入。笑 まあ、2つ持ってて文句は言われないでしょう。実際には喜んでもらえて良かったですが。


もうね、流石に空腹でパリの真ん中で飢え死にしそうだったんで、お茶しようということに。なんかこの辺って美食街なんですかね?高そうなお店があります。テクテク歩いてるとどぎついピンクと黒のお店が目に付きます。フォション(Fauchon)のカフェです。日本でも行ったこと無いですが、まあ記念に。
そこでワインとチーズ、ケーキを頼んで兄貴と談笑というよりやや議論寄り。いつも通り。
くだらない話。相変わらずデカイ話。家族の話。いろいろ。結局、何話したか覚えてない。ま、いろいろですね。
ちなみに、食事は・・・美味いけど・・・普通じゃね?笑

無駄に(?)おしゃれなチーズ。美味しい。でも周りのソース要らない気が・・笑

このミルフィーユは美味かった!!
横に倒して食え!って店員に御教授いただいてしまったw


さーさー、そこからエッフェル塔へと向かいます。目的はエッフェル塔じゃなくて、その近くの鴨料理専門店。ええ、フォアグラですよフォアグラ。そいつを頂に参るのです。
実は朝に彼から「学会で出会った先生方がいらっしゃるから、良い店をチョイスして予約しておいて」と指令が。。。慌てて店を探して予約したのです。

さて、電車に乗って行きます。一番下っ端なので、遅刻は厳禁。しかもYskだけお医者様じゃない。。。単なるポスドク(汗 いいんですかね、こういう場所にいちゃって。下っ端で働きます!!
お店に到着した時にはまだどなた様もいらっしゃらず。一安心してテーブルについて、準備します。その後に先生方が到着されて会食スタート。

いやいや、そのお店すごい美味しい!!本当に!!今まで食べたフォアグラの中で一番美味しい!!フォアグラもパテっていうか練ったやつだけじゃなくて、塩漬けにしたそのままのやつとか出て来て、すごかった!本当に美味い☆
メインは鴨肉のシチューをYskが頼んで、奴は胸肉のソテー。ソテーの方が美味しかったな。どっちももの凄いレベル高いんですけどね!!
ワインも堪能して、ありがたいお食事をしっかり堪能させてもらいました。ご馳走様ですYskの兄。その後はほろ酔いで帰路について就寝。
鴨の胸肉ソテー。こっちの方が美味。やばかった。
地味に付け合わせのマッシュルームも素晴らしい〜

シチューも良し!
残念ながらフォアグラの良い写真を撮るの忘れた(泣

これが美味いんだ。日本であまり食べる機会ないんだけど。
ブリュレ?って言うの?これ。パリで食べるこいつ。ハンパない!!
至極のデザートでございます。

翌朝はお別れの朝。兄貴を見送りに共にパリ東駅へ。彼は次の学会の地、ドイツへと向かいます。電車の時間までダラダラ話す。日本にいる時より話すかもしれない。海外旅行っていいな。そう変な所で思う。
電車の出発時刻が来る。ドアが閉まろうとする。「じゃ」とお互い。何気なく握手。硬く。お気をつけて。


二人から一人になると少し寂しくなるのは、家族兄弟に限らず人間誰でもでしょう。そんなことを思いながらYskはリヨン駅に向かいます。今日はパリの最終日。10時半の電車でスイスに向かうのです。現在7時半。早っ!!笑
3時間もある(T T)しゃーないから歩くか☆散歩散歩♪天気良好。文句なし。

東駅からマレ地区を目指します。今日もぶれずにdo Japanese。ピントもぶれません。自動だけど。笑 まあこうやって自分が日本人であることを自覚するのも悪くないですね。
レピュブリック広場

結構歩いたな。1時間くらいかけてマレ地区に到着。昨日のサン・ポール駅です。サン・ルイ教会が晴天に映えます。その前に腰掛けて一休み。お隣に金髪の女性。何をしてるのかなー、この辺に住んでる奥様かなー・・・って思ったら・・・爪切ってる〜笑
何も教会で切らなくても・・・^^;笑 その様子を眺めながら日曜日のパリの静かな朝を嗜みます。うん、いいよ、パリ。好きです。もう少し清潔にして欲しいけど、やっぱり。笑



時間です。リヨン駅へと歩き始めます。もう夏。暑い。汗をかきながら重いボストンバッグを背負います。またしばらくしたら来るだろう。やはりパリは魅力的な街だ。
次はどんな姿を見せてくれるだろう。パリという街は。
それに期待して。今回はさようなら。
リヨン駅までの途中に出会った革命記念塔

リヨン駅

地味にアールヌーボー?笑

Yskでした^^/
次回はスイス編☆


2014年6月23日月曜日

パリを歩く

こんにちは、Yskです。^^ ご無沙汰しています。
イギリスには夏がやって来ています。最近は晴れる日が多く、気温も23〜25℃くらいと、過ごしやすい日々が多いです。本当にたまに雨が降りますが、それもまたイギリスの風物詩でしょうか。いずれにしてもlovely seasonの到来です。

今日は外国での話を書いておこうと思います。先月、少し休みをもらってパリで休暇を過ごしたので、その話を。昨年もパリへは行ったのですが、美術館と観光名所巡りで終わってしまいました。今回はそんな感じじゃなくて、町歩き的に♪

まずはOxfordからパリに行きます。パリへはバス、電車、飛行機で行けますが、今回は飛行機で。バスは時間かかりすぎ。ユーロスターは高い!飛行機だと格安で60£くらいで行けます。GatwickやHeathrowからCharles de Gaulleまで1時間もせずに行ってくれますし、そこから10ユーロくらいで街中まで出られますしね。

しかし今回は最初からトラブルに見舞われました。まずOxfordからGatwickに向かうのに、バスが大渋滞に巻き込まれます。Oxford市内から出るのに1時間もかかりました!原因は高速道路の閉鎖。。。意味わからん。。。なので、空港に着いたら大急ぎです。走りに走ります。しかし、なーんと、Gatwickからの飛行機がシステムトラブルにより1時間以上遅れていました。。。なんじゃこれ。。。そのため、CDG空港に着いたのが夜中過ぎです。お陰様で空港からパリ市内へ向かうRER B線の最終電車に間に合わず。。。いきなりタクシーで行く羽目に。値段はおよそ50ユーロということで、まあお値段5倍。笑
遅れて下さったeasyjet様にはしこたま文句たれたかったですが、言っても何も変わりはしないので、到着早々で少しご立腹。仕方なく乗り合いでパリ市内に行こうと思い、適当にその辺の人に声かけてたら、無事に発見しました。奇遇なことにOxfordで学生をやってるオランダ人の青年でした。Oxfordでの生活や研究の話をしながら、一緒にパリに向かいます。30分もせずに市内に到着。彼と別れて今夜はただ寝るだけ。ホテルはモンマルトルの丘のすぐ東側です。 

去年もそうでしたが、兄貴がパリに来るのに合わせて日程を組んだので部屋を用意してくれました。リッチとは言えないポスドク研究者としてはありがたいことです。コンビニで買っておいてもらったサンドイッチを頬張り即就寝です。ちなみに、コンビニのサンドイッチはパリの方が美味しいですね。イギリスはやはり・・・笑

朝起きるとまずまずの天気。夜中に雨が降ったのかな?シャワーを浴びて着替えて出かけます。兄貴は学会へと足を運びます。Yskはその間、一人で散歩開始です。


最初はモンマルトルの丘に登ります。東から登ると意外と急な丘。息を切らしながら階段を登ります。登り切ると白亜のサクレ・クール寺院が現れます。圧巻の白。思ったよりデカイ。天気がイマイチなのが残念ですが、美しいです。寺院の周りの芝生は青々と茂っているので、晴天ならもっと映えるのになとか想像してしばらく見つめ合います。
サクレ・クール寺院 お美しいお姿。

サクレ・クール寺院を背にして南を向けばパリが一望できる見事な眺めです。モンマルトルはパリの北なのですが、けっこう南のモンパルナスタワーまで余裕で見えます。天気が良い夕暮れ時や早朝はさぞかし綺麗なのだろうと想いを馳せます。欧州の国どこでもそうなのですが、天気によって印象を相当に左右されるっていうのがありますね。イギリスもそう。フランスも。ドイツも。みーんな。比べて日本の景色はどうでしょう。京都の古寺群とか鎌倉とか天気によって趣が変わって、それぞれ美しいですよね。梅雨の時期だって雨露に濡れた紫陽花とかそれなりに美しさがあるし、庭の景色も四季と共に表情が移り変わって心を打たれます。建築物自体の豪華さとか壮大さとか、欧州の建築物はそれ自体が非常に魅力的です。しかし、天気や季節との調和という意味では日本というか東洋の美意識が勝るかもしれません。
パリを一望。右端がモンパルナスタワー、、だと思われる。。


とか考えながら、モンマルトルの丘を南に降ります。すると黒人のお兄様が現れて退屈な紐を売りに来ます。興味ないですと無視していましたが、突然Yskの手を掴んで巻き付けてくるのです。これ、英語喋れずに黙ってニコニコしてる日本人って思ってんなとカチンと来まして、思わずf....k o..f!!と言いそうになりましたが(笑)、ぐっと堪えてwごめんなさい、いりません(怒)。。。目を見ます。するとリーダー格の人がいるんですね、ちゃんと。その黒人の兄ちゃんが売りさばいている彼に向かって首を振ります。試合終了の合図のようです。どうぞ一人でお歩きの日本人の方はご注意くださいませー。(パリの中でここまで強引なのはモンマルトルだけでした。その他は怪しい人はいても無駄がらみしてきませんのでご安心を。)
ようやく振り返ってサクレ・クール寺院とご対面できます。気分を取り直してパシャパシャと美しいお姿を写真に収めて、はい終了。お散歩再開です。

モンマルトルの丘を出たら南に向かいます。目指すはオペラ。太陽の位置と時間だけ確認して、方角を見定めたら地図も無しに歩きます。実際パリは至る所に案内板があるので、地図など持ち歩かなくてもある程度は大丈夫です。
とうことでテキトーに歩きます。珍しい物が置いてある店を見つければちょっと足を止めて眺めます。そしてまた歩く。正直なところ、この辺の街並ってパリと言えども素っ気ないんですよね。小さな店の上にアパートみたいな感じの建物ばかりで、色は決まってベージュか白か薄い灰色。たまーに、アールヌーボー?みたない小物に出会うところは乙ですが。
アールヌーボー??笑


オペラ地区に近づくにつれてパリっぽさが増してきます。オペラに着く前にサントトリニテ教会に出会いました。特に注目していた訳でもないのですが、意外やカッコよかったのでカメラでパシャリ。こういうのが町歩きの好きなところですね。
意外な発見もあります。サントリニテ教会。


オペラ付近まで来たら、目指すはパレ・ガルニエ。ここまで来れば、街並は華やかなパリそのもの。オシャレなお姉さんやお兄さん、見るからに楽しそうな観光客、辺りは人でいっぱいです。お店も観光客向けの物から、パン屋さんだったりカフェだったり、ファッションブランドの店舗だったり雑貨店だったり、大都会パリを肌身で感じます。
さ、そのパレ・ガルニエ。見るからに豪華です。いわゆるオペラ座なのですが、日本で言う近代的な建築物とは大違いで、華やかさと威厳を持ち合わせています。昨年訪れた時に中には入ったので、今回は外観だけ拝んでさようなら。
パレ・ガルニエ。うーん、ちょっとお天気が。。。


そこから少し北西に歩きます。この通りにはデパートが建ち並んでいて、有名なプランタン・パリ本店とかもあります。個人的にこういうデパートで面白いのが食材です。日本のデパ地下みたいな感じで、美味しそうな物や見るだけで楽しい食材が売っています。昨年はそこでお土産を買ったのですが、今回はまあ特にそう言うこともなく、お手洗いをお借りして、はい、次、次。
プランタン。お手洗いのご提供ありがとうございます。笑


そこからまた南に向かってマドレーヌ教会へと向かいます。前回はこの付近のホテルを取っていたので、懐かしいなと思いながら歩きます。1年たっても変わりませんね。(当たり前か。)
マドレーヌ教会。やっぱ青空がバックだといいな。

マドレーヌ教会をカメラでジャパニーズした後はコンコルド広場へと南に下ります。ここは車の交通量が多いのですが、Yskのお気に入りの場所の一つです。オベリスクがカッコイイのと奥にフランス国会議事堂(?)と更にエッフェル塔も遠くに見えます。現在は車ばかりが通る場所ですが、ここから西に伸びるシャンゼリゼ通り奥の凱旋門から入って来た騎馬隊とかがここに集結する姿とかを想像すると格好いいなって思います。妄想ですが。笑 あ、それにその頃はエッフェル塔もないや。笑 まあでも。良いんですよ、ここ。エッフェル塔はどこから見ても華麗ですが、このコンコルド広場からアレクサンドル三世橋越しに見るエッフェル塔が自分のお気に入りです。晴れてかつ少しだけ白い雲があるとなお良し。(今回はこれも妄想。笑)アレクサンドル三世橋の金が映えますよ、ぜったい。
ちなみにもう一つ、エッフェル塔を見るのにお気に入りを挙げるなら、旧フランス陸軍士官学校を背にしてシャン・ド・マルス公園の奥から見る姿です。秋山好古がいた士官学校はここじゃなかったみたいですが。
コンコルド広場より。好きな場所。

アレクサンドル三世橋越しのエッフェル塔。いい。


コンコルド広場より。フランス国会議事堂?国民議会?のあるブルボン宮。かっけー。

コンコルド広場より。凱旋門とシャンゼリゼ大通り。


さて、コンコルド広場の景色を堪能したらそこから東に折れて、テュイルリー庭園へと足を運びます。シャンゼリゼ通りの方に行けばそのまま凱旋門にぶつかるのですが、今回はこっち。前回散々凱旋門は堪能したので。名前こそ世界一有名なシャンゼリゼ通りですが、実際歩いてみると、華やかなパリだな、くらいですから。笑 でも一度は必ず通りたい道ですが。凱旋門を眺めながら散歩っていうのはやってみたいことですしね。
それでも、まあ、今回はこっち。笑 さて、そのテュイルリー庭園。フランスの庭園はイギリスの庭園とは違っていて、植物の幾何学的な配置を楽しめます。四角く角張って刈り込んである木がまっすぐに等間隔で並んでいたり、アルキメデスの渦巻き線みたいなやつの更に複雑な模様(笑)の花壇とか。説明下手すぎるのでもう止めますが。笑 イギリスは庭とか公園と言えば青々とした芝生ですが、フランスだと小石が多い気がします。芝生もあるんですけど。でも何となく、芝生の所は鑑賞するところで、小石の所を歩く気がします。どちらも美しいです。

庭園に入って目指すはカルーゼル凱旋門、そしてルーブル美術館です。でっかい公園なので、端から歩くと出るまでに15分くらいかかってしまいます。何もせずに直進だけで。笑 ここには噴水の周りにベンチが設けられており、くつろげる場所となっています。そこで昼食やおやつを食べる観光客がいっぱいです。少し休みたいな、と思いつつも歩きます。
公園より。ルーブル宮。奥がカルーゼル凱旋門。


さて、カルーゼル凱旋門に到着。この凱旋門は有名なエトワール凱旋門、いわゆる私達が一般的に意味するところの凱旋門よりもスケールが小さいながらも、立派です。可愛らしくもあります。そのカルーゼル凱旋門の奥にルーブル美術館が見えます。あのピラミッドみたいな、有名なやつ。それを目指してカルーゼル凱旋門をくぐります。
ハイ到着。ルーブル美術館は昔は宮殿だったこともあって立派ですよね。外から眺めるだけで十分。ってことで今回は中には入りません。前回に1日かけて見たのでまあ良いかと。映えるピラミッドのモニュメントをドゥ・ジャパニーズしてさようなら。
カルーゼル凱旋門。可愛く感じる。

ルーブル美術館。混みすぎ。笑 ご挨拶だけで失礼します。


さて、ここまで来たら振り返る必要があります。なぜなら、振り返った景色が最高だからです。カルーゼル凱旋門から西を向けば、コンコルド広場のオベリスク、シャンゼリゼ大通り、エトワール凱旋門が一直線に見えます。ここまでダイナミックな景観を楽しめる都市は、日本には無いでしょう。昔から計画的に都市を発展させてきた古人の知恵とそれを守って来た市民の文化レベルの高さには感心させられます。もう少し街中が清潔なら文句ないのですが。笑 
で、ここまで来てその素晴らしい景観を見て感心し、疲れが押し寄せます。ホテルからここまで歩いておよそ2時間半。ずいぶんと歩きました。先ほど言った、噴水の前のベンチが目に入ります。そして気がつくのです。この景観の中心線上で昼寝してやろうと。ひひひ。笑
陣取ります。その中心線上の席が空くまで待っていましたが、運良く10分もしないで確保できました。さて座ります。急激な眠気に襲われます。寝ます。ぐーぐー寝ます。ふと目を開けます。いい眺めです。また寝ます。天気も良いし、贅沢なパリの休日です。
奥から凱旋門。コンコルド広場のオベリスク。テュイルリー庭園。Yskのエレガントな足。笑 背中にカルーゼル凱旋門。更に後ろにルーブル美術館。最高!


小一時間寝たでしょうか。寝て起きたら腹が減りました。実は去年食べて忘れられない物があるんです。フォアグラソースのパスタ。それをどこで食べたのかも覚えています。そこに言って食べようと決めました。場所はさっき通り過ぎてきたマドレーヌ教会のすぐ近く。もちろん歩いて戻ります。同じ道ではつまらないので、適当に方角だけ見て歩いて来ます。すると、高い塔に出会いました。ここはどこなのでしょう。その辺の看板を見るとヴェンドームだとか何とかって書いてあります。ヴェンドーム・・ヴェンドーム・・・ヴァンドーム??あれ??これってショパンが住んでいた所じゃね!!??クラシック好きとしては意外な発見にテンションが上がってしまいます。笑 偶然にもショパンがパリ時代に住んでいて最後に息を引き取った場所に自分がいるんだーとしみじみしてしまいました。散歩ってこういうのが楽しい。
ヴァンドーム広場のモニュメント。ここにショパンはいたんだなあ。


昔のことに妄想を膨らませてニタニタしながら歩きます。さっきのマドレーヌの近くに戻って来ました。目指す店は決まっています。名前を何というのか知らないですが、青い店。笑
店に入ります。「お一人様?」と聞かれ、はい、ランチ食べたいです、と。Ysk。ところが「ランチ?ダンス?」って聞かれて戸惑う私。笑 ダンス?あのダンス?(小躍りしてみる。笑)それを見て気に入ったのか、彼が笑いながら冗談だと言ってくれて、案内されます。ついつい素が出てしまって少し恥ずかしい。汗
注文するものは決まっています。まずは喉が渇いたのでビール。それから本日のスープ。そして最後に生ハムのタリアテッレ(フォアグラソース付き)です。
驚きだったのが自分が何も言わなくても、日本語のメニューが来たこと。よく見てるなあ、と。何を見てYskが日本人だと思ったのでしょうかね。もしかして小躍りでチェックされた?笑 まあいいや。

ビールがまず来ます。5月でも十分暖かくて、けっこう歩いたので喉も渇いています。良くみたら・・・間違ってベルギービール頼んでましたorz でもまあいいか。とりあえず飲みます。美味しいですし。クローネンブルクとかにしとけば良かったか・・・でもなんかフランスのカフェ料理に合わないね・・・ま、いいか。とか、考えながらもごくごく飲んでるうちにスープ登場。イギリスと違ってフランスではパンはただなので、パンもついてきます。バターを塗ってスープと一緒にして食べます。日本で言うスープってコンソメの味で水っぽい感じをまず想像すると思いますけど、こっちではポタージュに近いです。イギリスもそうなんですけど。だから、パンとの相性がすごい良くてパクパク食べてしまいます。しかもパンはタダで食べ放題だし。パリっていいですなあ。
失敗のベルギービールに本日のスープ。パンは食べ放題。ただ。

スープが食べ終わればお次はお待ちかねのタリアテッレ。ちょっと待ってます。スープが食べ終わってるのに気がついているのですが、何か持ってくる気配がありません。15分も待っていると、「何か他に注文しますか?」と聞かれました。笑
「おい!タリアテッレ頼んじゃんか!」とイラッと来ましたが「先ほどタリアテッレを頼んだと思うのですが、シェフに伝わってないですか?」と聞きます。無駄に丁寧に。笑 そしたら一番最初に注文をとった人がやって来て、「ごめんなさい。これは完全に私のミスです。すみません。すぐにお持ちいたします。」と平謝り。ふ〜まあいいか、と残り少ないビールを飲みながら待ちます。すると10分くらいで出て来ました。一年ぶりにご対面。待っていました、この時を。前回と変わらないはずがってていうか、以前にも増して今日は生ハムの盛り具合が多い気がします。さっき文句言ったからか・・・笑 ともあれ、食します。いただきます。美味い!やっぱり美味い! フランスに来てイタリアの料理のタリアテッレですか!?っていうツッコミはあると思うのですが、とりあえずフォアグラソースがフランスだからいいじゃないか、ということで。笑 実際、イタリアがどうのこうのとか無視できるくらい美味しいです。大切に食べていたつもりが、あっという間にぺろりとたいらげてしまって、はい、ごちそうさま。だいぶ長い時間滞在してしまったので、すぐにお会計をしてもらいます。
これが本日のメインイベント。うまし。フォアグラがいい。そして安い。

値段を見ると何故かすごい安い。不思議に思いながらも会計を済ませて店を出ます。後から考えるにスープの値段入っていなかったですね。タリアテッレ忘れていた分、スープ代引いてくれたのかしら。なんかよく分かんないけど、まあいいや。笑 美味しかった!!
ちなみに。フランスと言えどもフォアグラは高いと思っている人はいるかもしれませんが、ぜんぜんそんなことありません。カフェレベルでも十分に美味しくて安いフォアグラを出しています。ヘタしたら10ユーロくらい。カフェレストランでフォアグラを頼むとメインで20ユーロくらいでしょうか。パンの付け合わせにフォアグラのパテみたいなやつだったら、もっともっと安い。サラダに入っていたりもするので、本当に気軽に食べられます。みなさんも是非お試し下さい。

帰りもモンマルトルまで歩いて帰ろうって思ったのですが、お腹に入れたら急に疲れが出て、地下鉄で帰ろうと。若干、道に迷って無駄歩きした分、心が折れたのもありますが。笑

散歩はその後も続きます。ですが今回はここで止めておこうと思います。また次回!
Yskでした。


2014年5月12日月曜日

科学のα。そしてω。

こんにちは。Yskです。しばらく空いてしまいましたが、今日はいつも通り長くなりそうなので、すぐに本題に入ります。

今日の話は現在日本中で注目を集めているSTAP細胞に関して考えます。Yskはこの成果がリリースされ、その後に問題が発覚し、最近になって一定の結論が与えられるまで傍観していましたが、ある種の危機感と責任感を覚えるに至ったので熱を入れて書きます。では行きます。

さて。もやは何がどうなったのか経過事項をわざわざ述べる必要はありませんが、この問題に関して3つのブログを載せておきたいと思います。
http://blog.livedoor.jp/route408/archives/52144365.html
http://www.huffingtonpost.jp/daiki-horikawa/obokata-kaiken_b_5122124.html
http://blog.livedoor.jp/braindrain23/archives/51314204.html
科学に関係無い一般の方々でも、というか今回は一般の方々に特に一目でも目を通してもらいたいものです。(本心は一目どころじゃなく、しっかり何度も読んでもらいたいのですが。。。)

その3人の方々と私とで共通することがあるのですが、それは責任感と危機感です。Yskは現在イギリスにいるので日本の様子を知るには限りがありますが、報道を見たりする限り、これらの感情を覚えずにはいられません。というのも、小保方博士の主張を擁護する一般国民が驚くほど多いからです。自分を含めた科学者の多くは、彼女の主張をそのまま受け入れることは、まずありません。しかし、科学界や学術界と一般社会の乖離が激しいゆえ、世論がおかしな方向に流れて行ってしまっています。

まずは整理をしたいと思います。
根本的な問題点は2つしかありません。
1.STAP細胞の存在の有無(実験成功の証明)
2.論文中の不適切な表現方法に関する評価

のみです。極めてシンプル。
そして、これらは個々に独立した問題であり、別々に議論されるのが正しいです。どっちかが良ければどっちかは不問という事はありえません。

この2つ以外の問題を指摘して取り上げる方々が、マスコミも含めて非常に多くいますが、これら以外の事は実質的に主要な問題点ではありません。別の問題であり、本来の根本的な問題を複雑にしてしまっています。もちろん、これを社会問題と捉えて範囲を広げて深く考えることは必要ですが、上の2つを差し置いて論じるべきではなく、議論のトピックを別にすべきです。その際は、国家の研究体制、研究資金、科学教育、研究組織、マスコミ、女性、それぞれについて漏れなく議論すべきだと思います。
私達は、まずはそれをしっかりと理解すべきです。
この整理ができていないで、好き勝手な事を言っている人には「もっとしっかり勉強してください。そして間違ったことを堂々と言ってしまっている自分自身を恥ずかしいと思ってください。」と言いたいです。(非難は覚悟の上です。)


さて。その上で。
まずは1.について現時点での正解を書きましょう。正解は「わからない」です。

自然科学は状況証拠を一つ一つ丹念に積み重ねることによって、一つの説が立証されそれが論文になるのですが、特に現在問題となっている分野の研究は、点と点(状況証拠)を線で繋げるという過程がある点で推理小説と似たところがあると思います。推理小説では状況証拠が掴めないと警察の推理は全く立ちゆかなくなり「犯人はお前だ」などと言えたもんじゃありません。それと同様に、今回の問題でも現在の所、確実な状況証拠(確実なデータ)が示されていませんので、何の議論もできません。ゆえに、現時点での答えは「わからない」なのです。STAP細胞は「有る」でも「無い」でもありません。「わからない」です。
ですから「有る」ものとして彼女の正当性を支持するのは間違いですし、逆に「捏造」と決めつけて攻撃するのも間違いです。ただし、有ると立証できるデータが示されていないから疑う、という姿勢は科学者としてだけでなく一般的にもOKです。それゆえ、部外者同士が、有るのか無いのかの激しい議論をネット上で繰り広げているのを見ますが、どちらもダメなのです。しかし、その責任は小保方博士を始めとする研究チームにあります。やはり証拠となるデータを示すことが最重要ポイントとなるのです。ですから、この点に関して、他の科学者等からのデータに関する批判を無視した挙げ句、論点をすり替えて別方向からの反論を行う小保方博士と弁護士の態度は、非難されて然るべきでしょう。

続いて2.についてです。これは正解と言い切ってしまうことはできませんが、日本だけでなく全世界を含めた科学界のフィールドで生きる者として身に付けた一般論に照らし合わせると、彼女がしてしまったことは非難されて当然のことであり、科学というフィールドに立つ者としては決して許されない行為です。これはYskの見解ですが、悪意があろうが無かろうが、彼女のやってしまったことは科学者として既に責任重大だと思います。法的に不正に当たるかどうかは実際大きな問題ではなく、そもそもがダメなのですが、あくまで「どのくらいダメか」という程度の問題です。当の本人は法律のフィールドでその「程度の問題」に関して戦おうとしており、実際に世間の目をそちらに向かせることに成功しているのが現状ですが、その波にホイホイと安易に乗るのは間違いです。そのような状況であっても科学のフィールドは一歩どころか1ミリも引きません。むしろ引くことが絶対にあってはなりません。少なくとも科学のフィールドでは間違いなく御法度なのです。


以上、根本的な2つの問題に関するYskの見解を書きました。繰り返しになりますが、これら2つの問題は独立して扱われるべきです。現在の世間の風を感じるに、やはりSTAP細胞の有無が世論の方向性を大きく左右してしまう気がします。
STAP細胞の存在が確認されなかった場合、残念ではありますが事態はシンプルに収まります。一方、実際に細胞の存在が確認された場合、多くの科学者が世間から多大な非難を浴びることが予想されます。しかし、その非難は全くの的外れです。なぜなら、先の1.で述べた通り、細胞の存在の有無は現時点では「わからない」からです。そしてそのわからない原因は小保方博士側にあるからです。
更に、例えSTAP細胞があったとしても、彼女のした行為に対する評価が翻ることは無いでしょう。そこを混同してはいけません。情状酌量は実際の所あり得るかもしれませんが、非難はされて然るべきでです。感情的に彼女を信じていた人が、「ほらやっぱり有ったじゃないか!」と鼻が高くなるのも明らかに間違った姿勢です。2つの問題が別々に議論されるべきとはこのことを言うのです。STAP細胞の存在が明らかになった時に、彼女に謝罪しろとの風潮が巻き起こることが少なからず予想されますが、それは完全に的外れであり、むしろ、存在しているなら、尚更、なぜ他人に迷惑がかかる段階で発表してしまったのかという点、及び実際に多くの人間の時間とお金を浪費させてしまったという点からも、更に多くの非難を浴びるべきでしょう。もちろんその責任は彼女だけでなく組織全体で取らなければならないのですが。

それゆえ、現在STAP細胞の存在を疑っている多くの科学者は、仮にSTAP細胞が存在していたとしても全く批判の対象にはなりません。ただ静かに事実を確認すれば良いだけの事でなのです。ただし、Yskを含め多くの科学者は結果そのものに対して敬意を表し、賞賛することでしょう。


さて。この2つ問題が別々に独立して扱われるのとは別に、その周辺の問題を論じることは必要です。あくまで2つ主要問題の「周辺として」です。政治の世界に代表されるいわゆるある種の’文系社会'では、主要問題を無視して関係の薄い問題を引っ張り込んで来ては議論を複雑にして議論のペースを掴むということはありがちです。しかしながら、本問題に関する限りはそれをやってはいけないと思います。日本人全体がそのようなやり方に弱いというのはあるのですが、訓練する良い機会として問題をしっかりと整理すべきだと思います。そして、先にも書きましたが、周辺問題を取り上げる際は、国家の研究体制、研究資金、科学教育、研究組織、マスコミ、女性、それぞれについて漏れなく議論して欲しいと思います。
加えて、この過程では、議論という形よりも柔らかい世論というものが出来上がります。そして更にその世論の周辺にもっと柔らかい'物語'というのが出来るのが常です。その様な取っつきやすい表現体が社会に広がることには、良い部分もあれば悪い部分もあります。今回の件でも、それは既に起こっています。ガリレオの逸話と重ね合わせたり、他グループの陰謀説や年配研究者の妨害説という妄想、政治とお金という物語などです。この問題をゴシップ的に身勝手に楽しむということ自体は目をつぶるしか無いのですが、しかしだからと言って、科学的な結論が変わることは1ミリも無いと言うことを強調しておきたいと思います。
(下手もすれば、その物語の部分まで主要議論に入り込んできては事態をぐちゃぐちゃにしてしまうのが、日本社会の悪い習慣だと思います。これは改善すべきです。)



ちなみに、余談ですが、少しばかりその話に乗るなら、ガリレオの逸話に関しては的外れもいい所だと書いておきたいです。ガリレオは科学的データを基にした正確な分析によって地動説を主張したのであり、それを断罪したのは科学を理解しない宗教家でした。すなわち、ガリレオこそが科学者のフィールドから逸脱することなく戦った偉人なのであり、科学とは全く質を異にする宗教が社会的権力を掌握していた時代であったがために、彼は不幸にも悲劇の人になってしまったと言えるでしょう。
一方で、彼女はデータも示さず科学的な手続きも正確に行わず、法律に頼る姿勢からすると科学のフィールドからも降りていると言えます。逆に彼女を非難する勢力は、まさにガリレオが生きた道の上での議論を呼びかけているのであり、どちらがガリレオなのかはもはや明記するまでも無いでしょう。つまり、彼女をガリレオに擬える人は、残念ながら科学とそれ以外を全く混同しているのであり、更に残念なことに、自身の科学に対する無知または勉強不足を自分自身でさらけ出してしまっているのです。それゆえ、例えもし今後STAP細胞の存在が明らかになったとしても、彼女とガリレオとを重ねることはできないのです。



と、毎度のことながら長々と書きましたが、問題の本当の本当の本質って何なのでしょう?それは「確実なデータ」です。少し力を入れて書きます。

尊敬する森謙治東京大学名誉教授の著書の中に、「信頼できる確実なデータは科学のαであり、またωでもある」というのがあります。(ちょっと違ったかもしれないですが。)これは有機化学的な言い回しなのですが、αとは始めの一歩、ωとは最終到達点と思ってくれれば良いです。つまり、正確なデータが無ければ取っかかりの議論すらできない。そして、その正確なデータが十分に揃えば論争に終止符を打つことは自ずと可能になると言うことです。このSTAP問題の場合、まさにその「信頼できる確実なデータ」が示されていないために、我々は正確な議論もできなければ結論を導くことも出来ないのです。そしてその責任は小保方博士を含む著者達にあります。彼らが「信頼できる確実なデータ」を提供しない限り、この問題が解決することはあり得ません。それにも関わらず、その「信頼できる確実なデータ」として論文中に提示した図に、当人が言う所のありえない初歩的なミスがあるのと同時に、データを改ざんした痕跡が認められるが故に、科学界のフィールドの根幹である「信頼」を著しく喪失しており、いわゆる科学のαにすら至っていないと言えるでしょう。もちろん、言うまでも無く、現状のままでは科学のωへと到達することは明らかに不可能です。

(ちなみに実験ノートは結果を補佐するものであって完璧な証拠にはなり得ません。書くだけならいつだって誰だって出来るからです。偽装することだって可能です。科学で言う証拠とは、物理的な生データや加工していない生写真のことを言います。それが手元にあるのならそれを開示すれば良いだけの話なのです。手順を公開すれば特許が心配になりますが、結果の生データを一部の人間に見せても特許で先を越される心配は相当に低いのが通常だと思います。)


科学は民主主義や政治ではありません。例え1%の人しか指示しなくても正しいものは正しいのです。多数決では決まりません。世間を味方につけるようなことを行い、仮にそれに成功したとしても、科学の領域では何の意味もありません。
小保方博士や弁護士団は法律のフィールドへと引きずり込もうとしているのですが、この議論に乗れば乗るほど根本的な論点がずれにずれて行ってしまうということを、私達は常に忘れず、冷静に見極めるべきだと思います。懲罰が下る場合、その軽重に関して法廷で争うのは間違いではありませんが、もはやそれはこの問題における重要な点ではありません。小保方博士ら論文の著者がすべきことは、信頼できる確実なデータという科学のαを一刻も早く提供し、最終的に本問題を科学のωへと至らせることなのです。


現状では、日本社会と科学界の乖離は大きいままです。このままでは、多くの科学者が危惧するように、日本科学界全体の未来に大きな影響を及ぼしかねないですし、最悪の場合、日本の科学が世界から見放されることになるかも知れません。これは結局は一般の日本社会全体にとって由々しき事態になるのですが、残念ながらその破壊力抜群の影響力を想像できるのは、科学者自身だけというのが現状です。しかしながら、これは日本の科学者達自身に責任があります。私達、科学者は科学とは関係無い世界に生きている一般の人々との乖離を、全力で埋める責任が、今、あるのです。これが冒頭で書いた所の危機感と責任感です。黙ってただ傍観しているわけには行かないのです。

若僧のYskが言うのはおこがましいですが、こう呼びかけて結びたいと思います。


日本の科学者よ、危機感と責任感を持て。立ち上がれ。そして冷静に戦え。科学者らしく。感情的ではなく、淡々と、粛々と、そして力強く。1ミリたりとも引いちゃいけねぇ。絶対に。動かざること山の如し。



Yskでした。



あとがき:
Natureに発表した問題の2本の論文両方の責任著者:corresponding authorに小保方博士は含まれます。このcorresponding authorとは、この論文に関する責任の全てを私が負いますということです。その代わり、ノーベル賞などの成果は私がいただきますと言うことも同時に含みます。(これは私の理解なのですが。)筆頭著者はその研究を中心となってやった人、そして論文を実際に中心になって書いた人です。学術論文のauthorshipには、そのような宣言に近い意味があることも知っておいて下さい。ちなみに、笹井博士は指導者'的'立場と報道されていますが、2本のうち一つで責任著者です。若山教授も一つ。バカンティ教授も一つです。科学の世界では年齢や組織での立場に関係無く、論文上での立場に基づいて責任を問われるのが通常です。責任の軽重に関してはこれも知識として持ち合わせて発言をした方が良いでしょう。
更に、今回の論文は2本が親子の関係にあり、親の方で不正が認定されました。親の方が不正と判断された以上、子供の方は前提が崩れたことになり、論文としての体を成さなくなると考えられます。親の方の責任著者は小保方博士とバカンティ教授です。子供の方は小保方博士と笹井博士と若山教授。この子供の論文の扱いと責任問題がどのようにリンクして扱われるのかは意見が分かれる所だと思います。しかし2本とも責任著者の小保方博士は最も重い責任を問われてしかるべきです。それが博士号と責任著者の宿命だと思います。それゆえ、現段階で、彼女にだけ責任を押しつけているとか、トカゲのしっぽ切りという主張をするのは、必ずしも当たるとは限りません。理研の判断を見てから考える事だと思います。以上、今後の展開の参考にしてもらえればと思います。


参考:英国BBCでの報道を載せておきます。

参考2;Nature誌の方での取り扱い

参考3:Yskが読んで考えさせられた記事
http://www.chem-station.com/blog/2014/02/post-596.html#more
(問題発覚前)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140413-00010002-jindepth-sci
(以上は報道関連)
http://www.chem-station.com/blog/2014/02/post-596.html#more
http://www.chem-station.com/blog/2014/03/post-607.html#more
(以上は本問題に関連する記事)

だいぶ暖かくなったなあ。ちょと前の写真ですが。。。笑
やっぱイギリスはこれからの季節が最高ですわ。Lovely〜