英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2020年3月28日土曜日

安全第一で科学に従い医療・経済を守る

どうも、お久しぶりです。Yskです。
書いておくべきと思うことに出会った時に書くようにしています。今回はCOVID-19です。

もう今さら言うまでもなく、今年の1月から新型コロナウイルスによるCOVID-19が問題になっています。中国を発端に、欧州、アメリカとパンデミックに至り、とんでもない惨事になってしまっています。東京オリンピックもついに延期決定です。日本はまだマシには違いないのですが、ここ数日の都市圏の感染者の急増はとても心配です。増加の一途をたどっており、終息に向かう様子はありません。都知事は都市封鎖(ロックダウン)にも言及し、私達市民の間でも不安が募っています。

Yskの兄は、今現在、集中治療科(ICU)でウイルスと戦っている救命救急医です。図らずもコロナに感染した重症者の命を救う最後の砦として注目を集める、人工心肺ECMOの専門家です。そんな彼が何気なく発した言葉があります。

「ロックダウン(都市封鎖)は結果だからね。」

この言葉がYskに刺さりました。都市封鎖は予防ではないのです。都市封鎖「をする」のではなく、都市封鎖「に至る」のです。現在の欧米は、「ロックダウンになっちゃった」なのです。つまり、そう至らないようにすることが極めて重要だと思います。

そんな中、Yskは
「安全第一で科学に従い医療・経済を守る」
をここ最近のモットーに生活しています。ここで大切なのは、優先順位、因果関係です。この順番を理解していない人が多いのでは?と思うので、久しぶりに書こうと思いました。

私達の生活を支えるのは経済活動です。ですから、経済を守る必要があります。しかし、経済活動は健康上の安全・安心が保証された上に成り立っていることを忘れてはいけません。さっきのモットーの逆を考えてみましょう。

経済(生活)を守るために科学を無視して危険を犯す→活発に動く→ウイルスが蔓延→感染爆発(オーバーシュート)→都市封鎖(ロックダウン)→社会・経済の死(生活の困窮)

お分かりのように、本来守りたかったもの(経済・生活)を逆に全て失う事態が待ち受けています。最終的に、ありふれたごく普通の生活を守るためには、ウイルスの蔓延を防ぐことが何よりも大切です。そしてそれを維持するには、医療の崩壊を招いては絶対にいけません。私達市民一人一人が「感染しないこと」はそれだけで大きな価値なのです。今や経済的にも価値が高いと言っても良いでしょう。もはや社会貢献ですらあります。

感染しないようにするためには、科学に従いましょう。何より安全第一の意識がものを言います。

小規模でこの「逆」をやってしまったのが1月中旬です。オリンピックなど様々な要因があるとは言え、海外からのお客様という目先の小さな経済を守る所から始まった結果が現在直面している現実です。今回はもっともっと大規模です。同じ過ちを二回繰り返してはならないと思います。

現在の科学の力をもってしても、この新型コロナウイルスに対抗するための最良の方法は、人との接触を避けること、しかありません。ワクチンも特効薬も無いからです。科学者の端くれとして無力感を感じずにはいられませんが、これが現実です。ですから、最終的に「大きな経済を守る」のに最良の方法は、「小さな経済活動の休眠」(活動自粛)と言えます。死ぬわけではなく、休眠で踏みとどまれば、目覚めた時に復活できます。至る所まで行ってしまうと、復活できずに更なる深みへと落ちて行ってしまいます。活動自粛の意味するところの大きさを理解して貰えれば幸いです。

現在の日本で行われていることは、基本的にまだ自粛要請です。これ以上蔓延すると本当にまずくなり、都市封鎖まで至ってしまうので、外出を控えてくださいというお願いです。その要請にはもちろん多くの人が協力しています。Yskもこうやってブログを書いて過ごしています。一方で、社会活動の自粛に困る人、不満を持つ人、怒る人、または要請に価値を見いださず、自粛要請を無視する人も少なからずいます。中には鼻で笑うような、または侮辱的な言動をされる著名人もいます。このような人たちは、①自分たちの生活を支える「経済の心配」をしている人、または②「自分が感染しないことの価値」を理解していない人のどちらかだと思われます。

コロナウイルスに対しては、著名も無名も意味を成しません。科学的に正しいか、間違っているか、シンプルにそれのみが意味を持ちます。

前者①の方々の気持ちは非常によくわかります。生活を維持するのに経済が直結するからです。しかし、日本はまだ恵まれている方であり、経済的に大きな困難が生じても、行政による救済措置を受けることが可能です。ここは安全を優先し、科学を信じて我慢して欲しいと思います。もちろん行政はこのような困難に見舞われている市民に対し、迅速に支援策を打ち出し、実行に移さねばなりません。既に動いている自治体も多くあります。経済的困難に直面している方は、執着心を持ってあらゆる情報を得てください。救済措置はきっと見つかるはずです。現代は情報に富める者が利を得る時代です。

後者②の方たちには、ぜひとも上述の優先順位・因果関係と「感染しない価値」を理解してもらいたいと思います。今は感染しないだけで大きな社会貢献です。経済的にも価値があることです。人のためになるのです。

一つ紹介したいYskの師匠の言葉があります。
「大変な時にはよ。最終的に、『あーはっはっ!心配しすぎて色々と余計なことやっちゃったねー。』でいいじゃねえか。」(3.11東日本大震災時)
さらっとそれを言えるところが、かっこいいと思っています。
(自粛要請を無視した活動より、後ろ指をさされる下品な買い占めの方がまだずっとマシですね。)


それでも、これを書いている段階での日本は約2ヶ月間、よく持ちこたえている方だと思います。日本人の習慣が好影響を与えているのだと思います。具体的には、手洗い、うがい、毎日の入浴(湯船に浸かる)、マスクでしょう。特に入浴についてはいまだ見落とされていると思います。体が温まるし寝付きもよくなり、免疫力が高く維持されるでしょう。

ウイルスにマスクは効かないと言うのは、ウイルスのサイズよりマスクの穴のサイズが大きいからです。でも、マスクは多重構造なので、マスクの繊維にウイルスが留まって人体への侵入が妨げられる可能性は十分あります。咳やくしゃみによる飛沫は当然ブロックされます。マスクの物理学ですね。マスクに効果はあるでしょう。ですから、「マスクは意味ない!」というのは間違いで、使用数を減らして「マスクを医療従事者へ!」が正しい表現だと思っています。


これから私達の生活を守るためには、生活の優先順位が非常に大切だと思います。一人でも多くの人に理解してもらいたいです。

先のYsk兄に率直に聞きました。日本に人工呼吸器とECMOは何台あるのか?と。
「おそらく今現在で空いてるのは、人工呼吸器一万弱、ECMO一千弱」
だそうです。当然コロナ肺炎以外で使用している場合もあるでしょう。これが現実です。これ以上の数が必要になった場合は医療の崩壊に直結します。私達が「感染しない価値」を改めて理解できます。

「安全第一で科学に従い医療・経済を守る」
私達一般市民にもできることです。説教に聞こえるかもしれません。啓蒙が鬱陶しいかもしれません。すみません。それでも感染しないことが極めて大きな社会的価値に繋がると思い、書いています。一人でも多くの人が感染せずに、できるだけ早いうちにコロナウイルスが終息し、来年のオリンピックで大いに盛り上がれることを心から祈っています。


兄は続けてこう言います。
「今みなさんが見ている現実は、2週間前に一人ひとりが取った行動の結果だから。」
「二週間だよ、二週間。」

しばらく静かに過ごしましょう。在宅で仕事ができる人は、家にとどまって粛々と経済を動かしましょう。
人が密に集まる空間・お店はお休みしましょう。少なくともYskは英断だと称賛いたします。その代わりに、救済措置を行政に強く訴えましょう。

「コロナなんぞに負けんぞ!吹き飛ばす!」と言う老人が近くにいるかもしれません。そんな時は「周りに吹き飛ばしてはいけません。」「吹き飛ばされたものをもらってもいけません。」「そもそも吹きとばせません。」と冷静に伝えましょう。
「暇すぎてムリ。どうせかからんでしょ。かかっても軽い風邪でしょ。」と言う若い元気な子もいるでしょう。そんな時は「家での時間は楽しめないですか?友達とはオンライン上で楽しく会えますよ。」「あなたのその軽い風邪のせいで大切な人が命を落としても、一生、絶対に、後悔しませんか?」と率直に聞きましょう。
「気合いでなんとかなる!」と言うパーティ大好きな人もいるかもしれません。そんな時は「亡くなってしまった人は気合いが足らなかっただけなのですか?」と単刀直入に質問しましょう。
「自粛自粛ってバカじゃないの?」と画面を通して挑発的に刺激する著名人が出てくる可能性もあります。そんな時は「退屈な生活の中、刺激をありがとうございます。」と心の中で謝意を伝え、お家でそっと見守りましょう。

「感染しない価値」を誇り、静かに穏やかに過ごしましょうよ。
私達が静まれば、ウイルスも静まるのですから。科学的に間違いありません。

Safety first. Follow the science.



Yskでした。