英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2013年3月24日日曜日

あるべき姿

こんにちは。Yskです。今年になってから、あまり更新できていないので頑張って更新します。最近は音楽ネタというか趣味傾向が強すぎましたので、今日は久しぶりの論考で行きます。

今日のお話は、brotherのリクエストに応えましてwww、東大の秋入学と推薦入試についてです。このような機会を与えて下さいまして誠にありがとうございます。爆
(なんだこれ。笑← なんだそのリクエスト。笑←)

結論から行きます。
どうぞご自由に。
です。ははは。

秋入学も推薦入試導入も、思い切ってやれば良いと思います。闊達な議論の結果、それが日本最高学府としてあるべき姿だということならば。

しかし、それで話が終わらないのがYskです。笑
すみませんねー、小難しい人間で^^;

最近よく耳にするのが「タフな東大生」です。
さて、単にタフと言っても、そう単純じゃないですよね。浜田総長が言う「タフ」について少しばかり載せておきましょう。
http://djweb.jp/president/president_91.html
http://www.ut-life.net/people/j.hamada/2.php
充分とは言えませんが、このくらいで。

概して浜田総長の言うこと、目指す方向性には賛同できます。現代の社会分析が明瞭かつ適確であると思いますし、社会における大学の存在意義を再認識した上で描いた、東京大学としてあるべき姿に反感を覚えることはありません。しかし、私はそうでもないのですが、外から冷めた目で見ている人からすれば、大学というある意味で特権化された空間、またはアカデミア(学術)という社会とは良い意味でも悪い意味でも切り離されて考えられてしまう特殊な領域において、その復権というかその権威的な要素や姿が広げられようとしている、と捉えられるかもしれません。私個人の意見としては、そのような捉えられ方に対して好感は持てません。そんな見方しないでよ、というよりそういう見方をされてしまうような姿勢をおおっぴらにするのはちょっと、、、という事です。そもそも、一般社会から切り離して考えても良いという変な意味での特別な存在という認識に、どうも私は違和感を覚えるのです。

もちろん、最高学府という気概はあって良いと思います。頂点に立つ者らしい姿勢は必要だと思います。しかし、一般社会から切り離されてはいけない。威圧的であってもならない。端的に言うと、極めて自然な形で社会全体に溶け込まなけれなければならない、と私は思うのです。私は昔から他人の目を気にしやすい傾向にありますが、その変な疎外感を感じざるを得なかった時が何度もあります。 学部を卒業して大学院に進み、少なからず世間や社会に触れる機会が多くなればなるほど、今は逆にそれが時にコンプレックスを感じてしまう要素にもなって行きました。深刻な状況では無いですが。しかし、自分に付けられたラベル、レッテルをどうしても剥がすことはできません。それが様々な場面で私の邪魔をし、時に凹ませ、時に私を怒らせることもあるのです。

つまるところ、「タフ」という言葉の中に含まれるコミュニケーション能力という、それだけの言葉で片付けられるのではなく、もう少し社会貢献に役立とうとする姿勢を出して欲しかったな、というのはあります。タフで立派なエリートが育ったとしても、「経済活動を行う環境」で疎外されていたのでは何の意味もないですからね。(社会とか世間とか実社会とか、そういう言葉は使いません。だって大学だって社会の一部、世間の一部でしょ?切り離しませんよ。)


さて、話がそれました。一応、前提を書いたつもりですが、毎度の事ながら長いですね。笑 ここで本題に入ります。(この時点で今回の読者は10%くらいになっているな。笑)

秋入学について。やれば良いと思います。しかし問題なのはギャップタームと呼ばれるようになった入試から入学までの時間の使い方だと思います。率直に言って、海外留学なんて全員は無理です。お金持ちだけができることでしょう。東大が費用を半分以上負担するなら別ですが。でも非現実的ですよね。そもそも東大に合格する人って経済的に恵まれない人が多いんです。特に男子は。(女性の場合は家庭の経済力と正の相関が見られると聞いたことがありますが。)海外留学と簡単に言っても現実はかなり厳しいと思います。

続いて、ボランティア。ボランティア自体は良いことだと思いますが、それを高校卒業したてで大きなストレスから解放された元気ハツラツな青年が、精魂入れてやりますかね。。。やらないと思うんです、僕は。できないですよ、現実的に。それまで散々縛られた人生を送って来たのに。現実は、とにかく遊び倒す、遊びに遊んで有頂天になって、高校までで勉強したことの8割くらい忘れて入学。これがオチだと思います。現行制度の1ヶ月の期間であっても、相当に遊び倒し、その後、新歓やらサークルやらで半年くらいは有頂天の生活を送るのであろうし。いずれにしても、現在の案のまま行けば、言葉は悪いですが、半年の間に劣化した東大生を生産する結果になると思います。
(自分もどれだけ劣化したことか。。。っていうか4年間劣化し続けたな。。。)

それから、研究体験。これは断固反対。笑 海外留学以上に無理です。教員の負担はハンパじゃないし。これは絶対にできません。メリットがありません。現状でも4年生で入ってくる学生を育てるのに最低1年くらいかかっているのに、専門知識皆無の高校生が研究をやるのには非常に無理あります。半年じゃ本当に何もできないです。指導教員や博士学生がほとんどの実験をやることになり、その結果の説明を一応聞いて、何かが解ったようなつもりになるだけでしょう。これは賛同しかねます。

でも、秋入学はやって良いと思います。そして同時に英語での講義開講もより拡大すべき。そして、アジアからの留学生に限らず、北米、欧州、インド、ロシアなど、様々な国の学生が生活しやすいキャンパス環境をつくり、彼らをどんどん呼び込む。その中で、競争を促す。それで、もしそれが出来たとして。私には解ります。きっと現在の東大生の3割も彼らに太刀打ちできないでしょう(当時の私が残りの7割であることに疑いの余地はない)。東大が作り上げた競争で、東大生が負けるのです。こちらに来て思いますが、大学生の勉強量は東大の比じゃないです。ものすごい勢いで勉強します。現在の状態で戦ったら相当な確率で叩きのめされてしまうでしょう。

しかし、それはあくまで1つの過程であって、その過程を経てより競争力の高い大学へと生まれ変われば良いと思います。オックスフォードを見ても思いますが、この大学の中でイギリス人の割合ってそんなに高くないです。もちろん半分はそうだと思いますが。日本の大学の様に9割以上なんてことはまずないです。きっとオックスフォードも、その長い歴史の中で、イギリス人が外国人に叩きのめされながらもその過程を経て、世界に名だたる大学へと成長してきたのだと、私は思います。

さて。じゃあギャップタームをどのように過ごせば良いのでしょうか。 ただ批判するだけなら誰でもできるので、私なりの提案をしてみます。私はボランティアや海外留学という、ちょっと良く聞こえる言葉を並べるより、戦場に放り出してみる方が良いと思います。
私の世代も含めて、現在、足りないと思われるのは危機感です。グローバルと一言に言ってもそれは世界規模での競争社会です。仲良しこよしでだけでは無いのです。日本人に足りない意識は、まさにその競争社会にさらされているという実感です。それを大学生になる前に植え付ける必要があると思います。

じゃあどこで覚えるか。私は官庁と自衛隊を思いつきます。乱暴に聞こえるかもしれませんが、自衛隊での訓練で体力付けて心身共にタフになるっていうのは本気でありだと思います。研究やっていると、もう本当に頭の世界というのは10分の1くらいです。あとは体力気力。人より何倍の努力が限られた時間内でできるか、と。これに尽きるのです。なので、まったく理論的じゃないかもしれませんが、忍耐力などの精神力と純粋な体力は必要条件です。逆に頭だけ良くても研究はまったく進まない。実は研究とは概してそういう世界なのです。なので、朝から走って筋トレして。キツいトレーニングも歯をくいしばってやる。泣いてもダメ。やるしかない。そういう環境に放り込んでみるのも良いと思います。
え?「お前 、自分の事じゃないからそんな事言っているのだろう。。。」って?ええ、その傾向もありますが。笑 でも、私ならやりますよ。笑 ええ、普通にやります。

で、体と心を鍛えるだけでは意味がありません。防衛省にでも行って世界情勢とか国家防衛についての講義も受ければそれだけで、危機感は養えると思います。ディスカッションなんかもやればなお良い。続いて外務省。国際問題などのテーマで世界における日本の立ち位置を認識する。お次は財務省と経済産業省。国家レベルでの財務問題や世界戦略における財政政策の概要を学ぶ。グローバルな戦いにおける産業のあり方の概要を学ぶ。この防衛省か外務省、または財務省、経済産業省のプログラムの中で海外研修もやる。海外の大学生などとディスカッションができればなお良いですね。こういう日本の先端に位置する組織の中で世界を見た方がよっぽど刺激的だと思いますし、大学で何を学ぶべきかが見えると思います。のほほんと海外留学などやるより、たった2週間でもこういう立場で海外に出たら、その方が濃密な体験になると思います。
その他に、文科省や農林水産省、厚生労働省も回るといい。これらは国内問題を主に扱うと思いますが、日本の社会全体に深く結びついており、グローバル社会とはまた違った面白さがあると思います。とにかく、半年の間に省庁巡りは非常に有効であると私は考えます。
このプログラムを組むのに、東大と官庁だけで企画するのは非常に難しいでしょう。なので、企業も巻き込んでしまいましょう。日本を代表する企業ならば凄く良いですね。少し余裕がある企業ならばお金も少々出してくれると思います。東大、官庁、企業と全部ひっくるめて、俗に優秀だと言われる若い準東大生を本物のタフなエリートに育て上げるのです。個人的には企業を巻き込むのがみそかと。そうやって社会にニーズに応えられる東大生を養う必要があると思います。

この様な感じで、秋入学制度が行われるのであれば、私はまったくの賛成です。
初めからこのような理想像に近づけるとは思いませんが、やっていく中で変わっていってくれればと思います。

さて、続いて推薦入試。。。。と思いましたが、記事がこの2倍になるのかと思うと、読んでくれている方々に失礼なくらい長くなるので、次回にします。笑

中途半端ですみません。
次回もまた長いと思いますが、耐えて読んで下ると嬉しいです。笑

それでは。

Ysk

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