英国でポスドクをして大学教員になった若手研究者のブログ

ポスドクの研究留学日記的なブログ

2013年3月24日日曜日

あるべき姿〜第二章

こんにちは。Yskです。今週は寝るか考えるかの週末です。ちょっと疲れたぞ。。。

さて、前回からの続きです。(でもやるwww)
前回は東大の秋入学制度の話でした。今回は推薦入試制度についてです。
結論から言えば、前回も書いた通り、どうぞ自由にやってください、ということです。

http://www.j-cast.com/2013/03/13169487.html?p=all
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2013/03/post-542.php

と、まあそれなりに反響はあるわけでして。様々な方が意見を述べていますね。
なぜ今になって東大が推薦入試、面接試験を導入するのかということですが、詳しいことはわかりません。点数主義に偏らず多種多様な学生を取り込むというのが東大の主張ですが、真実はわかりません。先ほど紹介した記事の後者の方の見方ですと、東大を蹴る人が増えたからとのことです。しかし、これは今に始まった事じゃないですよね、昔からハーバードに行く人はいたわけですし、東大蹴って医学部行く人だっていたわけなので。なので、ちょっと外れているな、という感じはします。地方にいる優秀な学生がリスクを背負わなくなったことによって、推薦入試で早々と他の大学を決める。大都会にいる優秀な学生は海外の大学に流れる。それらを阻止する目的で東大が推薦入試を始める。。。ちょっとじゃないですね、だいぶ外れている気がします。別に東大に行くリスクを背負いたくなければそれまでです。その様な考えの持ち主が東大に入ったって、東大からしてみれば大した差は無いですよ。その人が東大の未来を左右するほど影響を及ぼす学生な確率ってどのくらいでしょう。。。
(その大学に本当に行きたければ全然良いことですよ!推薦入試も。誤解の無いように補足しておきますが。。。ただ、東大を受けるリスクを回避した結果、他大学に推薦で行くという選択について述べているのです。)

ハーバードに行く学生、良いじゃないですか。ハーバードは優秀です。でも、東大も優秀ですよ。大学院が主ですが。。。少なくともオックスフォードで学生を見ている限り、まったくひけをとりません。博士学生はむしろ東大の方が優秀なんじゃないかとも思います。これは本当です。ひいきじゃありません。
(ちなみに、ハーバードは既に世界大学ランキングの首位から陥落しています。ハーバード等の米国アイビーリーグだけを見ていると、ちょっと時代遅れかもしれませんね。っていうか、学歴というか大学名を見過ぎな気が。。。)
で、ハーバードに行く人が将来大学でどれだけ優秀な仕事をしたり研究をするのかって誰もわかりませんよね。特に、研究って前回も書いた様に、頭は10%なんです。体力気力、それに運が90%です。なので、ハーバード大学に行った人が凄い研究者になるなんて保証、どこにもありません。それ以上に、大学院に入ってからものすごい努力をした人の方が、そうなる確率は格段に上がります。まあだからタフである必要は充分にあるのですが。仕事にしたって、ハーバードを出たから凄い仕事ができる人になる訳じゃなくて、どの大学にいても、自分を律してひたすら努力を積み重ねた人が、特別な実力を身に付けることになるのでしょう。正直に言えば、オックスフォードにいたって、「おいおい・・・」という人はいますし、がっかりしてしまう事だって希ではありません。(前回の世界大学ランキング2位ですよ!?ハーバードより上やで!?って4位だけど。。。自分の目で見たい人はどうぞ。http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2012-13/world-ranking)何が言いたいかと言えば、世界においたって、その人が優秀であるかどうかなんて、出身大学では決まらないという事です。これは絶対に真実。

なので、ハーバードに行きたい人をむりやり東大に振り向かせよう、、、というのはちょっと違うかなと。現在だって、ハーバードに行ける人で東大に入って来る人は既にいますよ。俗に東大の中でも神的な上位5%くらいは、その実力があるでしょう。ハーバードに行ける様な人材は、既に東大の中にもそれなりにいるのです。それより、やはり多種多様な人材でしかも優秀な人材を大学のキャンパスに解き放ち、大学を活性化させる触媒とするという、大学の主張通りの展開の方がしっくり来ます。多様なバックグラウンドを持った人材、点数主義とは違った形で選ばれた人材をキャンパスに解き放つ。そして、暴れろ。これですよ、やはり。

まあそりゃ、OBからすれば、一発勝負で難関突破するのがプライドっていう人もいるでしょうね。充分理解できます。人生の中で数少ない勝利を収めた瞬間ですからね。気持ちはすごい理解できます。なので、もし、推薦をやったら、きっと推薦組は差別的に扱われるでしょうし、 ネット上の人が心配するような裏口入学が横行する可能性も否定はできません。更に、いわゆる品質保証(点数をとれるだけの頭はあります、という客観的事実)を問題とする人も。東大の2次の問題が非常に優れた問題で、大学入試の模範となっていることもあります。ある意味では大学入試の模範とも言えます。(ちなみにその2次試験の問題は、1年かけて作られる。1年ってけっこう長いですよね。相当に練られているのです。)これについては1番目の記事をご覧下さい。そんなこんなで、問題が無いとは言えません。

と、まあそれなりに問題点はあると思いますが、私はやってみたら良いという立場です。現在、不本意ではあるでしょうが、世間から毛嫌いされている東大生が無視できないくらい多いのもありますし、経済界から「東大生なのに使えない」と言われてしまう人材が出てしまっているのも事実なのでしょう。(この「東大生なのに」が余計。。。東大云々に限らず使えない人は使えないと、僕は思うのですけど。。。)それに何とか対処したい、というのが東大の狙いであるなら、やってみるべきだと思います。推薦組は必ずや入学後に劣等感を感じる事になると思います。現在でも、既に現行入試におけるヒエラルキーはありますからね。でも、彼らが大学を卒業した後に会社等で充分に活躍出来たなら、そのような一面的なヒエラルキーは馬鹿げた物として消えてゆくのではないかと思います。というより、その推薦入試で入学した彼らが、キャンパス内でどれだけ威力を発揮するかによると思います。そういう意味で、私は推薦入試で入る学生が大暴れして現在の東大生を縛っている狭い価値観をぶっ壊し、価値観の多様性が生まれることを期待するのです。この推薦入試、やるなら徹底的に素晴らしい人材を採用し、むしろキャンパス内で現行入試組以上に輝く人に入って来てもらいたいです。それが私の希望です。

さて、ここまで東大の入試について書いてきました。前回が秋入学、今回が推薦入試です。記事が長くなって頭がパンクしそうです〜。考え出すと止まらない〜。

これら二つの試行は入試改革の一環ですが、この目的は何度も出てきているように、「タフな東大生」を育成するためです。しかし、これだけで充分でしょうか?この2つの入試改革を行うことで、現在、国家や経済界や学術界が求めている東京大学としての「あるべき姿」となるでしょうか?

私は足りないと思います。私個人の意見では、本当に変わらなければならないのは、大学学部4年間の教育システムだと思います。入試制度の改革が及ぼす影響はさほど大きくないでしょう。入学した3000人の学生を4年間かけてどのように教育するのか。教育するというか、どのような学問環境を提供するのか。むしろこちらの方に労力をかけるべきだと思います。秋入学を断行し、留学生が増え、競争が促され、更に推薦入試で多様な人材が入って来る。しかし、率直に言えばその後が最も大切なのであって、単に新しい窓を作ってそこから新鮮な風を入れたからと言って、環境が劇的に変化するとは考えにくいです。ある意味で淡い期待、くらいにしか思えません。大切なのは、そのようにして新しい風を呼び入れた後、その多様な色を持つ彼らをどのようなシステムに乗せて育てるのかという事だと思います。現行のシステムでは、まだ彼らが活きるシステムとは言えないと思います。多様な人材が入って来るシステムの構築(入試改革)、その多様な人材が活きるシステムの再構築(カリキュラム再編等)、これらが両方組み合わさって初めて功を奏すと思います。そこまで改革して初めて、日本最高学府と称される東京大学としての「あるべき姿」になるのではないかと思います。

ということで、この話、まだ終わりません。笑 長いよ〜〜〜。><
次回はカリキュラム再編について考えなければなりません。あーしんどい。。。
読者のみなさんには、まったく面白くない話で恐縮ですが、もうしばらく付き合ってくれれば嬉しく思います。

さて、日本はもう桜が満開と聞きます。いいですねー。春うらら。桜が恋しいです。やっぱり桜は美しいですよね。桜、春霞のかかった青空、いいですねー。オックスフォードなんて、まだまだ冬。現在昼過ぎ気温-1℃。爆 今日も雪がちらついています。笑 miserableって英国人が言いますが、まさにその通りですわ。
あ〜桜並木を散歩したい。。。I love Japan...

Yskでした。
最近のChrist CHurch。建物は威厳に満ちて良い。しかし天気が。。。miserable...

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